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日油協・楳田会長が新年度に向け「コストや価値に対し満足いくレベルの追求を」

 日本植物油協会は3月15日、都内で業界紙記者団との懇親会を開催した。
 楳田純和会長は開会挨拶で「作り方や使われ方、食の機会は変わっても、総じて植物油の(国内需要)200数十万トンというのは変わらないだろう。これから画期的に需要が伸びたり、ドラスティックに減ることはそうはないと思う。そこで重要になってくるのは、油単体の需要供給の問題ではなく、日本経済全体が緩やかなインフレになっていくような気分に変わって行かなければ、油に対しても良い意味での需要超過になっていかないと思う昨今である。日本経済はなかなか浮揚してこない現状で、世界的にも石油価格が低く、新興経済国においても思うようにいっていない。内外ともに厳しい経済状況に変わりない」との認識を示した。また、そうした環境下で植物油業界の動向については「中国も大豆や油を買う量は減っていない。国際的な油糧原料・油脂価格はそのことに支えられて下がってこない状況にある。国内ではエネルギーや物流、労働力の問題も含めてコスト高に直面している。したがって製品価格への転嫁にどの企業も努力しているが、なかなか実を結ばず、考えているような価格までは十分に押し上がっていかない」と歯がゆさを表現した上で、特に「忸怩たる思いがあるのは、油はどういう場面でも結果的には使われるにも関わらず、なかなかコストや価値に見合った価格が実現できない。新しい年度に入って、さらに価格を上げる、上げないではなく、コストや価値に対して満足のいくレベルなのか追求していきたい」と語った。
 植物油の価値が再認識され、様々な油種に消費者の目が向けられるようになった。楳田会長は「価値のある油を今後とも使って頂くためには、さらに企業としては品質を高め、企業の基本となる技術力の向上、事業展開を図る必要がある」との認識を示した。また、協会の取り組みに関しては、「油の価値や機能をますます見直して頂けるよう、これからの世代を担う子どもたちの学校給食等に携わる管理栄養士をはじめ栄養関連の専門家を中心に、理解を深めて頂けるよう、これからも啓蒙を進めていきたい」と引き続き脂質栄養に関する啓蒙に注力していくと語った。