• 遺伝子組み換え

日本モンサントが圃場見学会を実施

 日本モンサントは、8月20日、茨城県河内市にある同社研究農場において「遺伝子組み換え作物展示圃場見学会」を報道関係者向けに実施した。同社は毎年25回ほど一般向けに見学会を開催しており、例年350名ほどが訪れる。今年は例年より多く、約500名が参加した。来場者のうち、最も多いのが食品企業や飼料メーカー、次いで学生、その次に消費者・市民団体などの一般人となっており、遺伝子組み換え(GM)作物に対して様々な見地に立つ人々が参加している。
 同社広報部の内田健氏は、「GM作物が日本の穀物消費量の半数以上を占める中で、依然として良いイメージが広がらない。その理由の一つは、GMの効果を知る機会がないからではないか。GM作物を扱う会社として考える材料を提供している」と見学会の目的について話した。
 国内での商業栽培は青いバラを除いて行われておらず、今後もGM作物への理解は一朝一夕に得られるものではない。しかし、同見学会では、同社の丁寧な説明や質疑応答により、GM作物への見方がプラスに転じる人も多い。来場者には、確実にGM作物への理解や知識が広がっていると言える。
 わが国のGM作物の認可は、厚労省や農水省、環境省、食品安全委員会により、食品・飼料・環境への安全性評価がそれぞれ行われる。遺伝子はたん白質を作るため、遺伝子組み換えによりつくられるたん白質のアレルギー誘発性や毒性を調べることが、食品としての安全評価のポイントである。GM技術により導入された新しい遺伝子が作るたん白質は胃腸のなかで分解・消化され、栄養分として吸収・排出されるため、長期間食べても体に蓄積して悪影響を及ぼすことはないと評価されている。
 また、環境への安全性評価は承認までに最も長い期間を要する。過去に外来種が意図せずして日本国内で生育し、西洋タンポポのように交雑により近緑種が交雑種に置きかわる例があり、GM作物でも同様のことが懸念されている。内田氏は、交雑の可能性をゼロにすることは難しいが、GM作物にはこのような強い影響はなく、生物多様性への危険性は少ないと説明した。交雑については関係者が不安をあげる声も多く、今後も議論の焦点となりそうだ。