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日本モンサントが今年も遺伝子組み換え作物圃場見学会を開催

 日本モンサントは、茨城県河内町にある同社研究農場展示圃場において「遺伝子組み換え作物デモ試験圃場見学会」を毎年開催している。今年は7~9月に開催され、8月22日には報道関係者向けの見学会を行なった。同社の研究農場の隔離圃場では遺伝子組み換え作物(GM作物)を試験的に野外栽培しており、今夏は、特定の除草剤をまいても枯れずに雑草だけを効率的に防除できる大豆(除草剤耐性大豆)と、作物自体が害虫への抵抗性を持ち、殺虫剤の使用量を減らして栽培できるトウモロコシ(害虫抵抗性トウモロコシ)を栽培している。いずれも世界各地で広く商業栽培され、わが国にも輸入されている品種である。
 見学会ではまず、除草剤耐性GM大豆を除草剤無散布区域と散布区域の比較が紹介された。無散布区域では雑草が生い茂りどれが大豆なのかわからない状態なのだが、散布区域ではきれいに雑草のみが枯れており、その差は一目瞭然である。使用された除草剤「ラウンドアップ」は、アミノ酸系除草剤であり土壌中で自然物に分解するため、長期間土に残留せず環境保護区などでも利用されている。
 続いて、害虫抵抗性のGMトウモロコシとNon‐GMトウモロコシの比較についても紹介された。一見違いは分かりにくいのだが、実や茎の中を比較すると、Non‐GM種のみ虫の発生がみられる。害虫抵抗性品種は害虫の発生を抑えることによりカビ毒のリスクも低減させることができるため、輸入業者にとってもメリットの大きい品種となっている。
 また、遺伝子組み換え作物は農薬の低減にも効果を発揮しており、英国PGエコノミクス社によると、遺伝子組み換え作物の大規模な商業栽培の始まった1996年以降、農薬使用量は3億9,300万kg減少し、関連する環境への影響も約17%減少している。
 現在、わが国では遺伝子組み換え作物の商業栽培は行われていないが、穀物として、推定で毎年1,600万トンの遺伝子組み換え作物が輸入され、食品や飼料の原料として利用されている。これは日本の穀物輸入量の50~60%に相当し、日本の年間コメ生産量800万トンの約2倍にあたる。また、国内での商業栽培の認可が下りている品種もあるため、今後国内でも商業栽培が行われる可能性は大いにある。同社のような機会を提供することで、より多くの人々に理解を広めていくことは、今後より重要なものとなっていくだろう。