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アメリカ穀物協会が米国コーン・アウトルック・カンファレンス2021を開催

 アメリカ穀物協会は1月12日、バーチャルカンファレンス「米国コーン・アウトルック・カンファレンス2021」を、日本、韓国、台湾の3カ国にて共同開催した。
 講演は、「2020/21米国産トウモロコシ収穫時品質レポート」「米国トウモロコシ生産者による作付け予定などの近況報告」「世界のトウモロコシとDDGS市場の展望」「ドライバルクとコンテナ海上輸送の展望」の4つのプログラムをもとに進められた。

 最初に、アメリカ穀物協会のグローバルトレード・マネージャーを務めるリース・キャナディ氏が、「2020/21米国産トウモロコシ収穫時品質レポート」について報告した。同レポートは、米国産トウモロコシ輸出の90%を占める12州から採取した601のサンプルをもとに作成したもので、今年で10回目の報告となる。
 キャナディ氏によると、2020年は作付が早期に進み、昨年のスピードを大幅に上回った。シルキング(トウモロコシ種実部の先端から細長い毛が出て受粉の準備をする時期)は少し遅れたものの、受粉は順調に進み、生育も良好。収穫期には乾燥して暖かい日が続き、収穫が一気に進行した。
 作柄については、全体の67%が「よい」または「とてもよい」という評価を得ており、記録的な高収量となった。
 米国産トウモロコシは、米国農務省(USDA)が定めた基準によって品質等級ごとに分類されるが、今年はサンプルのうち84.7%がNo.1等級、94.5%がNo.2等級に分類された。昨年はNo.1等級が54.6%、No.2等級が81.7%であったことを考えると、飛躍的に改善されたことがわかる。特に、No.1等級84.7%という数字は過去5年間で最も高い水準であることに加え、No.2等級の割合も過去5年間で2017年に次ぐ数字であり、今年は全体的にとても高い品質だといえる。
 マイコトキシン試験については、採取された601サンプルのうち25%(180サンプル)で試験を行った。まず、アフラトキシン試験については、米国食品医薬品局(FDA)の規制レベルに準じて示している。その結果、99.4%の試験対象サンプルがFDA規制レベルである20.0ppb未満であり、20.0ppbを上回ったサンプルは1つだった。20.0ppbを上回ったサンプルは、干ばつが影響したと考えられる。ただし、輸出貨物はすべて米農務省連邦穀物検査局(FGIS)が検査し、20.0ppb未満のものにだけ証明書を発行するので、その品質は保証されている。ボミトキシン試験結果も非常に良好で、98.3%のサンプルが1.5ppb未満だった。これは、2018、19年の割合を上回るものである。FDA勧告レベルの5.0ppbを上回るサンプルは1つもなかった。今年2年目となるフモニシン試験は、昨年よりも良好な結果となり、5.0ppm未満のサンプルの割合は98.9%だった。また、今年からオクラトキシンA、T-2、ゼアラレノンの試験も開始し、いずれも良好な結果となった。

 世界的なコモディティ・リスクマネジメント企業であるストーン・エックス・グループのジェイソン・セージビール氏は、「世界のトウモロコシとDDGS市場の展望」について解説した。
 2020/21年12月時点の米国のトウモロコシ需給をみると、単収は1億7,580万bu(前年比104.9%)、期首在庫は19億9,500万bu(同89.8%)、生産と輸入を合わせた総供給は165億2,700万bu(同104.0%)となっている。飼料需要は57億bu(同97.8%)で昨年より低くなっているが、輸出量は26億5,000万bu(同149.0%)と、1.5倍近く増加している。また、エタノール需要も50億5,000万bu(同104.0%)と伸長しており、そのうちの約3分の1が副産物のDDGSとして得られる計算となる。ただし今後、新型コロナウイルス感染拡大防止のための米国のロックダウン状況により、自動車利用が減少すれば、エタノール需要は減少に転じる可能性もある。
期末在庫が17億200万bu(85.3%)と減少していることも問題視されている。在庫率は昨年の14.4%から11.5%まで下がり、米国の在庫率が下がったことで、世界の在庫率も昨年の26.8%から25.0%まで低下した。この数字はさらに減少する可能性もあり、米国の最終的な生産量が在庫率を左右すると予想される。
 昨年、あるいはここ数年と比較して、顕著な増加がみられるのが輸出量だ。過去30年で最も多くなっている。背景には中国需要の急増があるが、そのほか、北半球の米国以外のトウモロコシ生産国、特にウクライナの生産量が減少傾向にあることが要因だと考えられる。