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共存共栄の精神で40周年を迎えたライオン会

 ライオンは2月6日、東京・千代田区の帝国ホテルで、ライオン会および薬品ライオン会共催の「2018年ライオン会総会」を開催した。
 はじめに、ライオン会の会長を務める濱逸夫社長が挨拶を行い、「今年は、ライオン歯磨とライオン油脂が1980年に合併する2年前に設立されたライオン製品会社の新ライオン会が発足して40周年という節目の年になる。この新ライオン会発足の目的は、時代に即応した流通網の確立などで、具体的にはライオンにとって会員の卸店様は地域市場における強力な流通担当者としてライオン製品を全国津々浦々まで積極的に普及して頂き、互いに協力するという共存共栄の旗のもとに、ともに市場での存在感を高めることであった。この精神は今に至るまで変わらない普遍の精神である」など謝意を示した。
 また、「社長に就任した2012年より進めてきた高付加価値エントリーは、販売店、生活者の支持を得て、市場の金額拡大に貢献することで業界の価値を高めるまでになった。これは今後のわれわれの大きな自信に繋がる。国内の市場は、総人口の減少や高齢化という長期的な市場縮退傾向にある中で、昨年から業態やチャネルによってトレンドが異なる状態が顕著である、卸業やメーカーを取り巻く環境は今後激変することが予想される。今一度ここで気を引き締めて臨まなければならない。様々な技術環境の変化や市場変化を乗り越え、生活者とライオン商品の出会いの場をともに創造していく、あるいはデジタライゼーションの進展によりECチャネルのさらなる伸長が予測される中でも、リアルな実店舗での買物体験を通じた消費行動の喚起が今後の卸売業とライオンの存在感を高めることに繋がると確信している」と述べ、創立40周年を記念して作成した「ライオン会40年の歴史」を放映し、次の50年、100年に向けた支援を呼びかけた。
 その後、会務報告に続いて、濱社長はライオンが経営概況について報告した。その上で「ライオンは2030年までに実現したい姿として、次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーになりたい。本年、新しい中期経営計画をスタートさせる」と語った通り、2月9日には「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」と題した新経営ビジョンと、中期経営計画「LIVE計画」を発表した。濱社長は「ライオンは、外部環境の変化を最も敏感に捉え、自らが変化することで常に人々に新たな顧客体験価値を提供し続けていきたい。一方で、ライオンはこれまでと変わることなく、ライオンのDNAである挑戦と創造の心を大切にして、より良い生活習慣作りの提案を継続することで、さらに卸店との共存共栄の精神に立脚した取り組みを通じて、生活者と流通の皆さんに最も信頼され、最も頼りにされる“ものづくり”メーカーであり続けたい」と強調した。
 取り巻く環境が今後大きく変化することが予測されていることがその背景にある。「最近、ある本で液状消費者という言葉を目にした。この言葉は、製品選択にこだわりのない生活者、つまり無関心な生活者が増加する中で、さらに情報の量・質が格段に増加して、また技術の進化によって、商品毎の差異があまり感じられなくなった昨今、SNS等のインパクトのある情報によって簡単に消費者が液状化してブランドスイッチが起きてしまうことを液状消費者という言葉であらわしていた。特にミレニアル世代という若い世代でこの傾向が顕著になってきているようで、その結果、ブランド戦略だけでなく購買チャネルも変化して、市場構造も大きく変化することが予想される」という。
 また、足元では物流を巡る環境変化にもメーカーとして着実に対応していく必要がある。さらに、AI、IoTに関する技術や情報の変化は、これまでとはまったく異なる次元での環境変化に繋がる可能性がある。しかし、「ライオンは、これらの変化をリスクと捉えるのではなく、最大のチャンスと捉えたい。低価格訴求と一線を画したメーカーによる高付加価値品の開発、コミュニケーション施策を通じたお客様への価値の伝達、そして流通各社の様々な工夫を業界を挙げて投合、推進していくことこそがこの変化をわれわれにとって絶好のチャンスに転換する最高の方策ではないか」と濱社長は力強く語った。
 そのために、マーケティング力、ものづくり力、協働力、提案力、人材力の5つの力で、「ライオンの商品と生活者の出会いの場を充実させて、顧客体験価値の創造を実現し、消費喚起を図る」考えだ。