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花王が販売等子会社を再編し新体制で運営開始

 花王は昨年6月末に、今年1月1日から国内販売等子会社の組織再編を行うことを決め、花王・カネボウ化粧品の販売会社の1社化や、美容カウンセリング専門会社の設立、売り場づくり等のマーチャンダイジング機能の集約していくことを明らかにしていた。この新体制での運営開始を前に、昨年12月21日、東京・中央区の茅場町本社で記者会見を開き、再編の目的や目指すべき方向性などについて説明した。
 花王グループカスタマーマーケティングの竹内俊昭社長は同社を取り巻く環境や化粧品市場の変化に触れた上で、「やはりこの環境変化をどう捉えるかが重要。花王グループ全体では中期経営計画K20を打ち出し、2017年からスタートしている。K20のスローガンは“自ら変わり、そして変化を先導する企業へ”ということで、この周りの環境変化に対して待っているだけではなく、自らどう変わっていくかが重要だと思う。国内の花王グループの販売組織を任されているわれわれとしては、このK20の4年間の成長を実現させるためにも、家庭品をスタートして40年近くずっとしてきたモデルを今回カネボウ化粧品の販売会社を統合することで、もう一度新しいビジネスモデルを作っていく」と竹内社長は意気込みを示した。
  販売組織再編の経緯については「元々はカネボウ化粧品が2006年に花王グループ入りしてから、物流や研究、生産のところを先に機能統合してきた。そういった中で少し遅れてはあったが、2016年に販売部門も統合の第一歩として持株会社を作ってスタートしてきた。一方で、化粧品事業としては、2015年秋口から化粧品事業そのものを大改革していこうということで『SOFINA iP』から始まって、グローバルブランド『KANEBO』、それから『est』を変え、この秋はカネボウの『DEW』を大きく変えて、モノづくりの面でもスキンケアを立て直したいということでスタートしてきた。それとリンクして、2年前から進めてきた販売面の統合にもう一歩大きく踏み出して、編成を変えていく」考えだ。
 販社等再編の骨子について竹内社長は「従来、例えば花王の家庭品事業があって、ソフィーナという事業があって、カネボウ化粧品という事業があって、いわゆる事業毎に組織を作って販売もそういう切り口でしてきたのを今回機能別に変えた」というように、新組織体制では、マーケティング・販売・商談業務を担う花王グループカスタマーマーケティング、美容カウンセリング専門会社として新設したカネボウビューティカウンセリングとソフィーナビューティカウンセリング、そして売り場づくり等の店頭マーチャンダイジング業務を行う花王フィールドマーケティングという3つの機能を軸に、販売等子会社を4社に再編した。「それぞれの専門性を磨くことで、従来よりもさらに質の高い提案やサービスができる形にしたい」というのが狙いだ。
 営業・商談機能は花王グループカスタマーマーケティングがすべて担うということで「大手取引先を中心に2年前から徐々に行っていたのだが、2018年1月からは完全に支店もすべて統合して、今それぞれ36支店あるのを1つの支店で、いわゆる36を1個にして完全に統合した形で、これで本店機能から支社・支店まで含めて完全に一本化をさせていく。日用品のトイレタリーと、化粧品のソフィーナ、カネボウ化粧品を含めたこの2つを合わせた総合メーカーとして、対企業との取り組みをもっと深めていく。スピードを上げることと、商品が増えることによる幅の広がり、より質を上げることで取引先に対して貢献できる営業部隊になっていきたい。一方で、セルフ販売に近い店もドラッグストア中心に増えてきたこともあるので、その辺は逆に今までどちらかと言うと家庭品中心に持っていた顧客データを上手く使いながら、お客様に価値や気付きを与えられるような切り口を、例えば売り場や売り方提案ができる組織になったのではないかと思っており、そういうことをしていきたい」としている。例えば、使用ステップに合わせてセルフ販売でもよりわかりやすい什器開発を昨年から試験的に提案しているが、「できれば2018年6月の花王コラボレーションフェアである程度の完成版として本格的に導入できるような提案にまでしていきたい」との見通しも示した。
  支店統合による人員配置については「バックオフィスもひとつになるので、ある程度人員的にスタッフが重複する部分については、やり方によれば少ない人数でできるようになるので、その人数を例えば営業のサポートや提案活動がより充実できるような組織に人をシフトさせて効率化を図っていきたい。花王グループカスタマーマーケティングは総合力と専門性を上手く両立させて、提案力の強化に努めたい」と語った。
 一方、花王フィールドマーケティングについては「ここを完全に統合することで、花王、カネボウ化粧品、ソフィーナすべてを一人ができるようなオールラウンド化を図る。例えば、同じ店に2人、3人が行くよりも1人で全部することで活動時間が上がることにより、効率化と量とを両立できると思っている。総合化を活かすことを花王フィールドマーケティングの強みにしたい」としている。
 2つの美容カウンセリング専門会社については「カネボウ化粧品とソフィーナという2つのブランドの独自性や価値をよりお客様に別々のものをきちんと伝えて、本当の顧客満足を追求した、いわゆるカウンセリングそのもののレベルをもっと上げたいということで今回、別の会社にした。グループの総合力が期待できるような機能は一緒にするという考え方と、一方で個々のブランドを立たせた方が良いものについては活動の専門度を上げるということで、分けている。特に化粧品の店頭カウンセリングは、分けた方が良いということで美容カウンセリング会社は2つに分けた」としている。
 竹内社長は最後に「いずれにしても化粧品事業は周りの環境を含めて、今までしてきたことが通用しなくなっているという認識に立っている。当然今までしてきて良いこともあると思うが、変えなければならないことはたくさんある。販売だけでできることではないが、商品ともリンクしながら、われわれ販売機能のところもビジネスモデルを変えて、カネボウ化粧品とソフィーナの愛用者が拡大し、結果的に花王グループの化粧品ビジネスが拡大して、化粧品の大改革推進の一翼を担えるような販売機能として今回こういう形に変えた」ことを竹内社長は重ねて強調した上で「もう一度変化をよく捉えて、その先を少しでも行くことによって、小売業の売上・利益に貢献できて、その先にあるお客様にも喜んでもらえて、結果的にわれわれの売り上げも上がるというサイクルを是非作っていきたい。新しい組織で再スタートするので、今までよりもレベルアップした活動ができるように頑張っていきたい」と抱負を述べた。