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おいしさデザイン企業を目指すJ-オイルミルズ 新中計を策定

 J-オイルミルズは5月18日、今年度を初年度とする4カ年の第五期中期経営計画を発表し、同29日に東京・聖路加タワー内でその内容について記者説明会を開催した。
 これまでの第四期中計は本来2020年度までの計画だった。八馬史尚社長は「その中間地点とした2016年度のマイルストーンの数字として、2,200億円の売上高、100億円の営業利益、営業利益率4.5%に対して16年度の数字は未達だった。この2年間、増益だが、伸長率は(目標から)大きく乖離している」ことや、「質的な問題として、2020年に掲げていた海外の利益貢献25%、食品の利益貢献30%という目標に対しても、現状は乖離しており、量的にも質的にも従来の第四期中計の継続が難しいと判断して、第五期中計を17年度から立ち上げた」と新中計策定の経緯を説明した。
 新中計のテーマには「油を究めて幸せを創る2020 J-オイルミルズは『あぶら』を究めて、心動かすおいしさを想像するおいしさデザイン企業へ」を掲げた。同社がこれまで培ってきた知見やノウハウをもとに、「あぶら」が持つ価値・可能性を拡張して、揚げ物料理や調理、健康、調味といった様々な付加価値機能を徹底的に追究し、人々の心を動かすおいしさを創造し、おいしさデザイン企業を目指す思いが込められている。
 同社は、液体・固体・粉体の3つの形態の油脂と食感改良ほか、様々な機能を持つ素材を保有しており、それらを組み合わせておいしさをデザインし、顧客に提供する。これにより、新たな市場を創造し、少子高齢化の進行により縮小する国内市場においても持続的・安定的な成長を実現する。また、国内で磨いた「あぶら」の価値を基に、アジア市場を中心に顧客の「お役立ち」を実現し、海外事業展開を加速する。さらに、「あぶら」の価値・可能性を拡張することで、高齢化社会における最適な栄養補給、労働人口の減少による人手不足、女性の社会進出拡大に向けた調理時間短縮や、不足する食資源など今後拡大が想定される社会課題の解決に貢献していく考えだ。
 中計最終年度である2020年度の数値目標としては、売上高2,150億円以上(年平均成長率+5%)、営業利益80億円以上(同+10%)、営業利益率3.5%以上、ROE5%以上とした。 その実現に向けた事業戦略は、4つの成長戦略と3つの構造改革などから成り立っている。
 成長戦略については、1)油脂・育成領域での高付加価値品拡大、2)BtoB市場でのソリューション事業強化~強みの掛け算~、3)アジアでの海外展開の加速~国内で磨いた価値を基に~、4)汎用油脂製品の収益力強化、を挙げた。

 高付加価値品の売上高は2010年度を1とすると16年度は1.9とほぼ倍増しており、17年度2.1、20年度2.8へと引き上げていく計画で、売上高構成比では20年度に20%(16年度22%)、粗利益では40%(同32%)を目指す。高付加価値品は毎年売上二桁成長の実現を目標としている。
 事業領域別構成比では、16年度の売上高/粗利益が油脂92%/89%、育成8%/11%、海外0.2%0.3%から、油脂84%/79%、育成12%/15%、海外4%/6%へと変革していく計画で、育成事業と海外事業の成長を加速し、その構成比を高めていく。