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変革を着実に実行する不二製油

 不二製油グループ本社は5月11日、東京・丸の内の大和コンファレンスホールで2016年度決算説明会を開催した。
 清水洋史社長がはじめに総括を述べた中で、「今年から始まる中計の3年間は変革の3年間で、仕上がったところで2020年を迎える」とした上で2017年は「変革を着実に実行する最初の年になる。基盤は16年度までに作り上げたので、1年目から実行していくが、結論的には意志ある踊り場になる。1年目の計画は、18年度以降の大きな伸びに対し、一回しっかり準備をやりきる期間に位置づける」と述べた。2020年のあるべき姿、2030年のありたい姿へと大きな成長を遂げるには「新規事業と財務体質改善をしていく」考えだ。
 2016年度業績と17年度予想などについては松本友樹CFOが説明した。16年度の連結業績は増収増益で、売上高は2,925億円(前年比1.7%増)、営業利益は7期ぶりに過去最高を更新し197億円(同16.9%増)となった。「積極的な拡販施策、価格政策による採算改善に加えて、原料相場・為替等の外部環境の好転も寄与し、本社経費・減価償却の固定費の増加を吸収し、最高益となった」と松本CFO。17年度の業績予想は、売上高3,090億円(5.6%増)、営業利益200億円(1.5%増)で増収増益を見込むが「微増にとどまる見通し」(同)。
 一方、今年度の取り組みについて説明した酒井幹夫CSOは「17年度は特に、大豆事業の選択と集中をやり切りたい。大きな資産も中国、日本にあり、なかなか踏ん切りがつかなかったのが正直なところだが、その再構築を進めたい」と最重点ポイントに挙げた。
 コアコンピタンスの油脂、製菓・製パン素材については、「北米の新精製設備がすでにフルキャパに近い状態で勢い良い販売ができている。17年度はこの高収益を維持するが、次の生産拠点の検討を開始した。ブラジルのハラルドについては、チョコレート設備等の見直しや、もっと突っ込んでSKUの見直しを進め、さらに高収益体質にしたい。中国では、現工場で作るマーガリン・フィリングがオーバーキャパになっている。張家港の工場にフィリングの増設を決めた。同時に、17年度利益には計上できないが、広州に第2工場の建設をもうすぐ開始する」と語った。また、チョコレート用油脂については、「米国の生産キャパがフルに近いこともあり、採算を重視して販売している。コモディティの油脂を深追いしない政策。