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ライオンが制汗剤の新技術開発を発表

 ライオンは11月10日、平井事業所で制汗剤の新技術開発について記者会見を開催した。会見では、ビューティケア研究所の鈴木律裕研究員が開発の背景や新技術の概要について説明した。
 制汗剤は、ロールオン、ジェルに代表される水系製剤と、スティック、パウダースプレーなどの非水系製剤に分かれる。それぞれ使用感が異なるため、生活者は使用感の好みで製剤を選択している。
 水系製剤については、すでに発汗抑制技術が確立されており、制汗有効成分のACH(アルミニウムクロロハイドレート)を水系製剤に溶解することで、乾燥する際にACHがプラグを形成して汗腺に密着し、発汗が抑制される。一方、非水系製剤については、ACHが製剤に溶解せず、剤が乾燥後、発汗により、ACHが汗と反応することで汗腺にプラグを形成するという仕組み。しかし、実際には、高湿度でこすれが発生するというワキの環境下では、剤が脱落してしまい、プラグを作れない状態が発生し、制汗効果が低下してしまう。つまり、発汗してプラグを作るまで、ACHを滞留する技術が必要となっている。
 今回の新技術開発では、皮膜構造を強化して剤の滞留性を向上させることが必要と判断した。
 検討した結果、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸エステル共重合体(以下、アクリル酸ポリマー)に皮膜構造を強化する特徴を見出した。
 皮膜の滞留性を検証するために摩擦実験を行ったところ、アクリル酸ポリマー配合品は、未配合品に比べて、皮膜の耐摩擦性が1.7倍向上することが確認された。さらに、モデル実験で無塗付品とアクリル酸ポリマー配合品の発汗抑制効果を比較したところ、無塗布品と比べて大幅に減少することを見出した。