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日清オイリオグループ:国内油脂事業の収益改善が鍵

 日清オイリオグループは11月17日、同本社で2016年3月期第2四半期決算説明会を開催した。今村隆郎社長は第2四半期の連結業績について「売上高は前年同期比1.8%増の1,611億2,300万円、営業利益は12.8%増の34億8,000万円、経常利益は16.8%増の36億9,100万円、四半期純利益は51.1%増の28億6,500万円となり、増収増益の決算となった。営業利益・経常利益で増益となったのは、単体が減益となったものの、ISF社、T&Cを中心としたグループ企業の増益に加えて、グループ全体でのコストダウンへの取り組み、そして、のれんの償却負担が減少したこと等によるものである。純利益については、経常利益の増額に加えて、日本国内の法人税率が低下したこと、また、税率の低い海外子会社の利益が増加したこと、そしてISF社の投資減税の効果等により、他の利益より増加率が高くなっている」と総括した。
 通期の連結業績予想は、売上高3,400億円(前年比3.3%増)、営業利益70億円(同25.6%増)、経常利益70億円(同20.2%増)、当期純利益40億円(16.0%増)としている。

 国内油脂事業については「ゆるぎない収益基盤の構築」に向けて、付加価値品の拡販と適正価格販売の徹底と、消費者・ユーザーニーズに適応したスピーディな商品開発に取り組んでいる。「為替の円安傾向の継続やオリーブ油の高騰等、食用油の全般的なコスト増に対して、適正価格販売の推進を行ってきた。キャノーラ油を中心にした汎用の食用油カテゴリーにおいては、商品の同質化からの脱却に向けて、ワンランク上の『日清キャノーラ油ナチュメイド』の拡販や、国内家庭用食用油で初めてである揚げ物の吸収を抑えカロリー低減をうたった『日清ヘルシーオフ』を投入して、一番のボリュームゾーンである基幹カテゴリーにおいて収益改善を図っていく。また、ココナッツオイルや『日清中鎖脂肪酸100%オイル』、『日清健康オイルアマニプラス』の発売、ギフトセットにおいてはオリーブ油の品揃えを拡充している」と今村社長。
 業務用分野では「適正価格での販売に加えて、新商品開発、外食・中食・CVSを中心にしたチャネル別戦略の強化、付加価値品の構成比率増加に注力しており、プレミアムオイル群『日清スーパーロング』シリーズの拡販に取り組んでいる」と述べ、ユーザーサポートセンターとの連携によるニーズ協働発掘型営業の推進を継続していく考えを示した。

 それでも油脂・油糧事業の営業利益は、原料コストに見合う適正な販売価格の想定水準に届かず、減益だった。これをカバーしたのがコストダウンや海外の加工油脂事業だ。
 同社は2015年度までに12年度比30億円の生産・物流コストダウンを目標としている。その進捗状況については「ほぼ計画通り(29億1,500万円)のコストダウン体制の構築ができあがる」との順調な見通しを示した。
 加工油脂事業は今年度上期も安定的な収益を計上し、グループの収益を牽引する事業となっている。今村社長は「国内加工油脂事業については、代用脂事業の安定化と取引基盤の強化、リテール市場への本格参入に向けた商品開発、商流の構築を推進している。ISF社においては、欧州取引先を中心とした付加価値商品の販売に注力し、より利益の稼げる体質に転換してきている。ISF社は社内でのアプリケーションを中心としたR&D機能の強化、現地での研究拠点であるNisshin Global Research Centerとの連携により、技術力の強化、商品の多様化への取り組みも行っている。今後さらに成長するために、アジア市場での事業拡大を目指す。大東カカオは今後の海外展開をにらみ、東南アジアにおける事業化に向けたパートナーの選定と新規顧客の開拓等、グローバルな事業展開への取り組みを加速している。T&Cは現在、日本向けの取り引きが中心となっているが、東南アジア周辺諸国への販路拡大に向けた取り組みを行っている」と語った。