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ライオンが真夏の汗に対応する発汗抑制技術を開発

ライオンは10月28日、東京・江戸川区の平井事業所で「新メカニズムによる発汗抑制技術の開発」に成功したと発表した。
 会見の冒頭に同社ビューティケア研究所の小出操所長が「ビューティケア研究所では、制汗剤の開発を重点的に行っている。制汗剤を支える汗の抑制技術はキーテクノロジーになる」と挨拶し、開発担当者である友松公樹研究員が新技術について説明した。真夏の汗にも対応する進化した発汗抑制技術というのがポイントだ。
 同社は、 医薬部外品の制汗デオドラント剤に使用できる制汗有効成分アルミニウムクロロハイドレート(ACH)の効果を最大限に発揮する技術の開発に着手した。ACHは水溶液なので、皮膚に塗布すると乾燥して皮膜を形成する。発汗により汗腺に浸透したACHと汗が反応することにより、汗腺に栓をするようにプラグ化して発汗を抑制するというのがACHの発汗抑制メカニズムになっている。しかし、このACH皮膜は脆くて壊れやすく、水に溶けやすい特徴がある。つまり、汗をかいたワキの下で皮膜が溶けたり、剥がれ落ちてしまうケースが考えられる。発汗抑制効果を向上するには、ACH皮膜を強化する必要がある。
 同社は、ACH皮膜の耐水性を向上させる疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ACH皮膜の皮膚接着性を強化するクロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体(アニオン性高分子)を見出し、皮膜の滞留性が従来技術の1.6倍向上することを確認した。
 また、これら2つのシーズを併用した製剤を用いた性能評価では、ワキ汗や汗ジミ抑制効果を強く実感した人が、従来技術の1.6倍以上増加することも確認した。
 なお、同社はこの新技術に関連する特許を5件出願している。新技術を応用した制汗デオドラント剤の製品化について同社は「現在研究所で製品化に取り組んでおり、近いうち発表したい」としている。