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日油協が日米パートナーシップの概要を報告

 日本植物油協会は10月5日、定例記者会見を行い、9月2~4日に米国テネシー州メンフィス市で開催された「第19回日米パートナーシップ」の概要を報告した。日本植物油協会と油糧輸出入協議会は、米国の大豆業界と同会議で議論、意見交換等を行い、交流を図っている。
 会議冒頭、米国側の団長を務めた米国大豆協会のレイ・ゲーザー会長は、米国の大豆業界に対する日本の継続的なコミットメントに対する謝辞を述べ、日本側の団長を務めた日油協の天野裕氏(J-オイルミルズ執行役員)は、米国の大豆関係者との友好関係に謝辞を述べた上で、日本は今後も米国大豆の安定した需要者であり続けることを強調し、改めて日本における米国大豆の復権が重要な課題との認識を示した。
 米国大豆の需給展望を報告したインフォーマ社のニコラス・ホイト氏は、米国の作付面積の中長期的な見通しとして、2020年までに大豆がコーンの作付けを上回ると予想した。現状では大豆とコーンの面積当たり収益は同程度だが、次第により多くの農家が大豆を植えるようになっている。また、2015/16年度の米国の大豆生産量は過去最高水準に近づくとみられ、搾油も過去最高となると予想した。米国の大豆輸出量は米ドル高と南米との競争等により昨年水準を大きく下回ると予測され、直近の買付け契約の水準は前年比約60%、中国への輸出は全体の50%未満となっているが、世界のバイヤーが辛抱強く状況を見極めており、輸出需要が減少していると見るのは時期尚早との考えを示した。また、米国における搾油と飼料の利益率は高水準で、14/15年度の大豆搾油は記録的な水準を維持しているが、この傾向は16年まで続くと予測した。
 米国のハイオレ大豆の動向については、全米大豆基金財団のジョニー・ダッドソン氏が報告した。2006年1月にFDA(米食品医薬品局)がトランス脂肪酸表示を義務化して以降、米国大豆はキャノーラ油とパーム油に200万トンものし上を奪われており、ハイオレ大豆を大豆油の市場占有率回復のための戦略大豆に位置づけ、2023年までに国内需要に加え重要な輸出市場へ拡大する生産量を確保したいとの考えを示した。米国におけるハイオレ大豆の生産は12年に始まってから、9州で栽培が広がり、15年には1万117ha(25万エーカー)、今後、18年に160万ha(400万エーカー)、23年には730万ha(1,800万エーカー)を目標に設定しており、米国で生産する穀物・油糧種子作物の中で4番目に多いものとなるべく順調に進んでいる。目標が達成されれば、24年のハイオレ大豆油の生産量は400万トン超える換算になる。