• 企業

日本水産がEPAメディアセミナーを開催

 日本水産は6月23日、東京・港区の同社会議室において、「ニッスイEPAメディアセミナー」を開催した。同社は4月に開始した機能性表示食品制度にともないEPAの効能を謳った新製品を準備しており、拡販を視野に入れてEPAの認知拡大を図っている。セミナーの第1部では、医療法人財団晴山会平山病院薬局長の小林悟氏が「本当のサラサラの話 ─EPAで心臓・血管を健康に─」と題して講演し、第2部では日本水産取締執行役員・ファインケミカル事業執行の関口洋一氏が「弊社のEPAへの取り組みについて」、機能性食品推進部機能性食品推進課長の馬場みのり氏が同社のEPA既存商品の紹介を行った。
 小林氏は、EPA研究のきっかけや新しい血液レオロジーの概念、海産食糧が血液粘度を改善するとの仮説が立てられた経緯や、疫学調査、臨床試験、臨床医薬品発売などを流れを追って紹介した。血液をさらさらにさせる物質の要件や作用のメカニズムに関する説明では、赤血球の膜中への取り込みやすさがEPA>AES>DHAであることや、EPAには変形能があるがDHAにはない点、また、最近ではコレステロールを低下させる薬を飲むとAAが増加するとの認知がされるようになり、臨床現場では薬と一緒にEPAを投与する流れがあることなども説明し、他の食用油と比較したEPAの粘性の低さやそのメカニズムについても触れた。最後に、EPAとDHAの違いについては、EPA含量と赤血球の変形能には優位な相関が認められたものの、DHAでは同様の結果が得られないことや、DHAは血しょう中においてEPAに変換されること等がわかるデータを紹介した。

 関口氏は、日本水産のEPA開発の歴史やEPA研究における各種調査や製品開発の紹介や、食用油におけるn-3系脂肪酸の位置づけ、動脈硬化進展遅延機能や中性脂肪をていげんさせるメカニズムといったの多面的な機能を有していることを説明した。また同社のEPAの製造技術や製品特長なども説明した。同社は原料となるいわし魚油をペルーやチリから調達し、原料油タンク1万8,000トンの能力を持つ北海道ファインケミカルにて備蓄し、内航船タンカーにて鹿島工場に移送する。鹿島工場では加工食品向けのEPA・DHAを生産し、つくば工場ではさらに高度に生成した医薬品原体を生産している。鹿島工場はEUHACCP認定工場であり、EPA・DHA機能性魚油の処理能力は50トン/日と、非常に高い生産性を持つ。また、高純度のEPA・DHA生産に加えて、健康食品素材や化粧品素材、化成品素材などの生産も可能で、内航船タンカーが横付けでき、タンカーから魚油をパイプラインでタンクに送ることのできる好立地となっている。同社は、DHA・EPAに求められる高純度、酸化対策、マスキング技術といった点でも豊富な取り扱いの経験を有している。
 同社の既存用品には、ヨーグルト風味の清涼飲料水「イマークS」や豆乳クッキー「エパプラス」(全11商品)シリーズ、EPAにおける持久力向上効果に着目した「EPAスポーツサプリメントシリーズ」ながある。