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第39回日加菜種予備協議
カナダのナタネ生産量は前年比12%減の1,372万トンを予想

 第39回日加菜種予備協議が7月8日にカナダ・アルバータ州カルガリー市で開催され、その概要について日本代表団が7月17日に農水省で記者会見し報告した。会見には日本代表団の小池賢二団長(日本植物油協会国際部会長、日清オイリオグループ原料部長)らが出席し、日本植物油協会の齊藤昭専務理事が概要を報告した。

 今期の作付けを前に、2014年11月~15年3月はマニトバの一部地域を除いて、概ね平年並みの降水量だったことから、今年は早期に作付けが終わると考えられていた。実際、5月17日時点での作付け完了率は、アルバータ州71%、サスカチュワン州56%、マニトバ州72%となっていた。しかし、その後、カナダ北西部の多くで気温が零下になり、場所によってはマイナス7℃を記録し、霜害が深刻化した。そのため、程度の差はあるものの約400万エーカーが霜害を受けたと見られ、マニトバ州を中心に120~150万エーカーが播種をし直すことになった。再播種ができたところでも、収穫期が遅れることが懸念されており、早霜のリスクも高いと言えそうだ。全体的に収穫は遅くなると考えられ、単収も影響を受けることが必至との見方が示された。
 また、作付け時機の土壌水分こそ良好だったが、その後、マニトバ州やサスカチュワン州南東部を例外として、雨が非常に少ない。同予備協議までの総降水量はわずか75mmで、今後もこの水準が続く場合、状況は厳しくなると見られる。こうした少雨、乾燥状況により、同じ圃場の中でも生育段階が不均一な状況も生じている。4~7月における降水量は、西部カナダのほとんどの地域で平年の60%未満という水準にある。
 こうした状況下、今期のカナダのナタネ作付面積は前年比約5%減の1,940万エーカーと見込まれている。州別では、最大産地のサスカチュワン州が同3.8%減の1,025~1,030万エーカー、アルバータ州が前年比約5%減の618~620万エーカー、マニトバ州は投入コストの低い大豆の作付けが増加したため前年比9%減の約29万エーカーとなっている。単収については過去5年平均の35.8ブッシェル/エーカーを大きく下回ることが確実視されており、同予備協議時点で32ブッシェルと予測されているが、高温乾燥が続くとさらに下がる可能性もある。
 2015/16年度のカナダのナタネ需給は、需給のひっ迫が避けられない極めて厳しい見通しだ。生産量は前年比88.2%の1,372万5,000トン。一方、需要面では、カナダのナタネ搾油能力は1,000万トンを超えるが、15/16年度の搾油量は前年より0.8%増の735万5,000トンが見込まれている。供給量の減少を受けて、輸出量も過去2年のような900万トン前後の水準を維持できず、723万7,000トンに大きく減少する見通しだ。これらの結果、2015/16年度の期末在庫は前年比32.4%の52万5,000トン、在庫率は3.5%と極めてひっ迫が予想されている。「今年のカナダナタネに関しては赤信号が灯っているが、世界のナタネ生産地の状況を見ると、カナダが昨年比200万トン減、EUも同250万トン減の2,150万トン、豪州は50万トン減の280~290万トン、さらにウクライナ180万トンに低下するなど、世界各地で生産量の低下が予測されている」(ルシエル氏)状況にある。