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油脂未来研究会が日油協齊藤専務を招き講話会を開催

 全国油脂販売業者連合会の若手経営者らで組織する油脂未来研究会は6月18日、東京・銀座の京橋プラザ区民館で講話会を開催した。一般社団法人日本植物油協会の齊藤昭専務理事が「最近の経済情勢と植物油を巡る動向」をテーマに講演した。
 齊藤専務は、日油協の活動で全国の管理栄養士へ油脂の正しい知識普及・啓発に取り組んでいることを紹介した。油をエネルギー転換したり、生体機能の維持や油の膜で保護するといった生命活動、生命の設計プログラムとしてのDNAと油脂の関係や、、国内の食用の植物油脂需要は約230万トンあるが比重で容積換算すると東京ドーム2つ分が消費されていること、脂肪酸組成といった油種毎の特性などを紹介しているという。
 また、米国食品医薬品局(FDA)が6月16日、工業的に作られるトランス脂肪酸の主要な摂取源である部分水素添加油(PHOs)は食品用のいかなる使用においても「一般に安全であると認められる(GRAS)」という専門家間の合意はない、という最終決定を下したことについて触れた。「世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満にするよう勧告している。一方で、日本人の飽和脂肪酸摂取量は同7%程度。悪玉コレステロールに飽和脂肪酸が与える影響と、トランス脂肪酸が与える影響を健康に同じくらい悪いという観点で比べれば、(血中のLDLコレステロール/HDLコレステロール比を指標にすれば)飽和脂肪酸を総エネルギー量の7%くらい摂った場合とトランス脂肪酸を同3%くらい摂った場合に同じくらい悪い。しかし、日本人のトランス脂肪酸摂取量は同0.6%くらいで少ない」とされていることを紹介し、「トランス脂肪酸ばかりではなく、バランス良く全体を見てほしい」と述べた。さらに、米国FDAの決定について「すべてのトランス脂肪酸を禁止するという報道がされているが、まったくの間違い。3年(の猶予期間を経た)後に部分水素添加油をGRASの対象でなくすというのが正確な理解」とした上で「その後は部分水素添加油を食品に使用する場合には食品添加物として扱う必要があり、個別に使用許可を受ける必要がある」と語った。その後、日油協が米国連邦政府広報(官報)で確認したところ、今回の対象に反芻動物由来のものや食用油を含まないと明言しているという。