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ADEKAが新中計「STEP 3000-Ⅱ」始動

 ADEKAは5月29日、東京・東尾久の同本社で2014年度決算・中期経営計画説明会を開催した。同社の15年3月期の連結業績は、売上高2,143億1,900万円(前年比4.9%増)、営業利益146億800万円(同5.8%増)、経常利益170億9,900万円(同7.1%増)、当期純利益115億7,300万円(同26.4%増)となった。郡昭夫社長は業績概要について「自動車向けの高機能な樹脂添加剤やエンジンオイル添加剤、情報機器向けの感光性材料などが海外を中心に好調に推移した。反面、原料価格上昇などの影響を受けた食品事業は利益面で大苦戦した。全体としては増収増益という結果になった」と総括した。

 15年度から3カ年の新中期経営計画「STEP 3000-Ⅱ~グッドカンパニーの実現~」を始動し、2025年のありたい姿「ADEKA VISION 2025(先端技術で明日の価値を創造し豊かなくらしに貢献するグローバル企業)」に向けた最初の3年間に位置づけ、17年度売上高3,000億円、営業利益240億円、海外売上高1,500億円、海外売上高比率50%を目指す。経営指標としては、営業利益率8%、累計投資額は約700億円。3カ年合計で400億円(海外160億円:うち化学品120億円、食品40億円)の設備投資を計画し、業容拡大・新規事業創出を目的にM&A枠として300億円を準備する。設備投資のうち15年度は130億円を見込んでおり、「食品については中間原料を作る部分と精製能力アップを含めた新設を計画している」ことを明らかにした。
 基本戦略は前中計を踏襲しており、樹脂添加剤と食品のコア事業を中心に規模拡大を図り、情報・電子分野を第3のコア事業として育成、また、ライフサイエンスや環境・エネルギーを中心とした新規事業の育成や業容/領域の拡大を挙げている。
 食品事業は17年度に売上高800億円を目指す。国内基盤の強化では、マーガリン・ショートニング等の加工油脂の販売強化によるシェアアップや、ホイップクリーム等の加工食品の品種統合やコストダウンにより利益性向上を図り、また、機能性素材の展開と周辺事業の取り込みにより領域を拡大する。海外展開の加速として、アジアの食品子会社3社(中国、シンガポール、マレーシア)と連携し、現地ニーズや嗜好にあった製品開発と、販売促進による規模拡大を目指す。「主体となる伸びはすでに進出を果たしている中国、それから動き出したマレーシアに大きな期待をしている。中国もすでに新たな投資を開始しており、このところ順調な推移で、マレーシアをプラスオンで乗せていきたい」と郡社長。