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日清オイリオグループが15年3月期決算説明会を開催  ISFの増益と中国事業黒字化が利益牽引

 日清オイリオグループは5月22日、同本社で2015年3月期決算説明会を開催した。連結業績について今村隆郎社長は「売上高は前期より2.3%減少の3,292億6,700万円、営業利益は9.2%増の55億7,400万円、経常利益は15.1%増の58億2,300万円、当期純利益は51.5%増の34億4,700万円となった。売上高の減少は、単体の減収に加えて、中国事業の再構築において昨年度まで連結子会社であった旧・大連日清製油が中国のCOFCOグループとの合弁により持分法適用会社になったことが主な要因である。営業利益、経常利益は、日清オイリオグループ単体が減益となったものの、ISF社の増益と、前期大幅な赤字であった中国事業が黒字に転じたことが増益につながった」と報告した。
 なお、2016年3月期の連結業績予想は、売上高3,400億円、営業利益70億円、経常利益70億円、当期純利益40億円としている。

 14年度からスタートした3カ年中期経営計画では、最終年度の16年度の経常利益110億円以上を目標に掲げている。目指すべき姿である“ゆるぎない収益基盤の構築”には、各事業の中でも特に国内油脂事業の収益改善が必須事項と捉えている。 同社は、国内油脂事業に密接に関わる生産・物流のコストダウンへの取り組みとして、15年度までに12年度比30億円のコストダウン体制構築を掲げている。今村社長は「14年度までに約19億円の体制を構築した。今年度はさらに取り組みを進めて、目標数値を達成していきたい」と強調した。
 加工油脂事業については、ISF社が過去数年取り組んできた構造改革が着実に成果を上げ、14年度は前年を上回る利益を計上し、連結決算に大きく貢献している。今村社長は「欧州の取引先を中心とした販売数量増、付加価値品への販売構成のシフトにより、より利益の稼げる体質に転換しつつある。今後さらに成長するアジア市場での事業拡大を目指す。また、Nisshin Global Research Center(NGRC)との連携により技術力を強化し、付加価値品の生産能力をさらに増強する計画であり、収益基盤はより盤石なものになりつつある」と評価した。この付加価値品の生産能力増強について久野貴久取締役常務執行役員は「具体的には分別設備の増強を図る。主としてドライの分別であり、ISF社の中でもRSPOの対応など、より精度の高い分別精製が求められている」と述べた。
 ファインケミカル事業については「着実に利益を上げてきているが、中期経営計画の目標を達成するためには、もう一段のジャンプアップが必要」との考えを示した。国内の化粧品分野では、大手顧客向け既存品の販売数量増、新規採用の新商品も収益に貢献。韓国や中国においても大型需要に繋がる新規採用を獲得している。今村社長は「中国での営業活動は現在、上海の投資公司内に所属する組織になっているが、本年度内をめどに独立する予定で、本格的に中国市場に参入し、拡大を図っていく」ことを明らかにした。ヘルシーフーズ事業では、治療食品におけるMCTオイルなど中鎖脂肪酸関連の商品の拡充を行い、販売数量を増加させている。「高齢者食品においても中鎖脂肪酸入りのエネプリンシリーズの販売が約5割増加した。その他、トロミアップシリーズなどヘルスリンケージ分野では当社の強みを活かした商品開発、販売展開により事業を強固にしていく」(今村社長)。
 一方、中鎖脂肪酸事業は将来の成長軸としての事業化に向けて取り組みを進めている。体脂肪蓄積の抑制や運動能力の向上、高齢者低栄養の改善に加えて、脳機能改善機能を持つ可能性について、様々な面より症例等の取得や認知に向けた活動を行っている。今年5月にはスティックタイプのソフトゼリー「中鎖脂肪酸メモリオン」を通販限定で新発売した。「中鎖脂肪酸の持つ新たな可能性を技術によって引き出し、中鎖脂肪酸=日清オイリオといわれるようなグローバルブランドの確立に向けて、新たな成長事業としてグローバルに展開していく」考えだ。