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カネカ「フードフェスタ」5月より全国3都市で開催

 カネカは4月6日、東京・新宿区のカネカ食品で同社食品グループが主催する展示会「カネカ食品グループ フードフェスタ2015」の概要、見どころについて記者説明会を開催した。
 同社食品事業部の榎潤執行役員食品事業部長が冒頭挨拶し、製菓・製パン価値創造事業、機能性加工油脂事業、天然素材加工事業のの3つの柱それぞれの核となる技術を競争力の源泉に事業展開を進めていると説明した上で、食品事業を取り巻く環境について「人口が減っていく、需要が減少している中で、消費構造そのものも変化しており、ますます厳しいと想定している」と語った。急激に変化する市場環境のキーワードは「低価格」「簡単・便利」「健康、食の安心・安全」「環境対応」「グローバル化」の5つ。「カネカ食品事業グループは、これらのキーワードを元に、常に消費者目線で市場の変化先取りを進めている。お客様の立場で新たな価値を創出・提供し続けることを通じて、食品業界の皆様のより強力なパートナーになることを目指している」と語った。
 また、各種施策の現状分析と今後の見通しについては「確かに2014年度は、これまで発表している通り、食品としては非常に厳しい。原料高、円安、さらにカネカ食品の統合費用経費でかなり圧迫され、全体として減益を余儀なくされている。今まさに値上げをしている最中であること、さらに新製品を他社の何倍も継続的に出していくことで収益構造を変えていくことに、かなり手応えを感じている。国内の収益については、2015年は改善する」との考えを示した。また、カネカフーズインドネシアについては「スタートしたばかりで、利益貢献はまだしていないが、2015年上期注には採算化する計画で、開発と市場開拓を進めている」と述べた。

今年のテーマは「OPEN DOOR おどろきと感動の世界へ、ごいっしょに」。新製品の紹介や、アイデアメニューの提案、各種イベント、企業コラボレーションブースを含む80社以上の仕入先メーカーの出展など、製品、情報、サービスを統合し、新たな価値を提案・提供する内容となっている。大阪(5月19~20日、大阪国際会議場)、東京(6月16~17日、TRC東京物流センター)、札幌(7月8日、アクセスサッポロ)の全国3都市で開催する。また、今年度からの新たな取り組みとして、全国9会場(福山、松山、熊本、北九州、仙台、青森、金沢、浜松、名古屋)で地域商談会を開催する。

 同フェスタで紹介される新製品4品について、同社食品事業部技術統括部の船岡俊行商品開発センター長が説明した。「開発陣は、長年色々と技術の蓄積をしてきた。今回は、いかに消費者に新しい価値を提供できるかに焦点を絞り、新製品を用意した」という。
製菓製パン用の折込用油脂「ヴィオロンシートBY」(マーガリン)と「ヴィオロンチョコBY」(ファットスプレッド)。折込用油脂には、シート成形と均質なシート伸展性、そして油脂のジューシー感と風味の発現という2つの機能が同時に求められる。しかし、バター感が出ることと、シート成形できることを両立するのは、低トランス脂肪酸対応を図る中で、難しさもあった。極度硬化油を利用したエステル交換油を配合する例などがわかりやすいが、従来のシートマーガリンには、シート成形性を確保するため、高融点成分を配合するのが一般的であり、自然な風味が出にくくなる欠点がありがちだった。バターの風味やバターのたん白質の乳成分といった風味成分が高融点成分を核にしたネットワーク状の油脂膜に覆われてしまい、おいしさが表面に出難くなるためだ。
 そうした2つの機能の両立を図るため、同社は新たに「Flavor Releasable Oil」を開発した。高融点と低融点の油脂の組み合わせではなく、中融点油脂を軸にすることで、独立した中融点油脂結晶中に風味成分の分散が得られ、そのことによって、連続層中に存在する風味成分をリリースしやすくなることが最大の特長となっている。また、パンの中に硬い油が存在するとパサパサした食感になるが、この新規油脂は室温では固体状ではなく液体状なので、ジューシーな食感を得られる。この独自の油脂改質技術を活用して開発した素材の風味が出る「Flavor Releasable Oil」を用いたのが「ヴィオロン」シリーズだ。
 生地の安定性をアップし、ふんわりとした食感を実現する新しいケーキ用起泡性乳化油脂「クレビスGL」や、新規に開発された高糖耐性のアミラーゼを使い、焼き菓子のような高糖度環境でもしっとりさ、ソフトさを長持ちさせる製菓用老化防止油脂の「イニシャル」、関連会社の新化食品から発売されたドーナツの吸油を抑える生地改良剤「QU-1000」についての説明も行われた。
 それらの詳細は「油脂」2015年5月号で紹介する。