• 企業

昭和産業が第3四半期経営概況を報告

 昭和産業は2月6日、東京・千代田区の銀座アスターお茶の水賓館で記者会見し、第3四半期の業績や各事業部の概況について説明した。
 同社の平成27年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が1,864億4,700万円(前年同期比0.2%増)、営業利益64億2,800万円(同12.0%減)、経常利益71億1,700万円(同11.9%減)、四半期純利益46億9,200万円(同15.3%減)の微増収減益となった。
 岡田茂社長は第3四半期業績について「売上高は、販売価格面では穀物相場が下落した影響により前年を下回る傾向にあった。一方、販売数量面では当社が打ち出している複合系のソリューションを提供する営業活動を展開した結果、製粉、油脂、糖質、家庭用食品、飼料、すべての事業部門が前年を上回る結果となった。グループ全体の販売数量は2.4%増加している。これらの結果、0.2%の増収となった。営業利益は、業務用を中心に販売数量が好調に推移したが、円安による原価負担増加や物流費等の販管費の負担増加の影響により減益となった。営業外収支は、急激な円安の進行による為替差損益の悪化もあり、11.9%の減益となった。特別損益では、特別利益の減少等もあり、前年同期比で約3億円悪化している。これらの結果、四半期純利益は15.3%の減益となった。販売は非常に順調に推移したが、円安による原材料のアップや物流コストの増加などにより、収益面が若干苦戦しているのが現在の状況である」と総括した。
 通期の連結業績予想は当初から変更はなく、売上高2,500億円(前年比1.5%増)、営業利益は90億円(同5.3%増)、経常利益97億円(同0.6%増)、当期純利益65億円(同0.6%増)を据え置いている。

 また、昨年制定した同社のブランドメッセージ「穀物ソリューション・カンパニー」では、業務用の問題点や課題解決手段という位置づけでソリューションと銘打っている。岡田社長はそのソリューションの一例として、1)穀物の取り扱いボリュームによるソリューション、2)複数事業のシナジーによるソリューションの提供、3)複合系の技術ソリューションの提案の3つを示した。
 小麦、大豆、ナタネ、トウモロコシなど多種多量の穀物を取り扱う昭和産業の総合力を活かすスケールメリットが安定供給とコストダウンにつながっている。また、粉と油、家庭用と業務用、常温と冷凍といった多岐にわたる事業展開を行っているからこそ可能な提案もあり、部門を超えた多方面からの付加価値づくりで顧客ニーズに応えている。さらに、鶏や卵、その飼料まで生産者の顔が見える安心な仕組み作りを進めている。原料調達から生産、販売まで一貫して行う昭和産業だからこそできる穀物ソリューションに取り組み、穀物の特長を知り尽くし、活かしきることができるプロ集団として食のあらゆる場面へ最適なソリューションを提供していく考えだ。

 続いて、大豆、ナタネ、トウモロコシ、小麦の原料概況について田付直也原料部長が説明した。今年度スタート時に比べて穀物原料相場は「総じて大豊作に支えられて下落。特に元々4月時点で高かった大豆が5ドル/buダウンの大きな下落になっているが、ナタネのみは4月時点と余り変わらない、もしくは若干の上げになっている。ただ、為替相場が4月時点では(1ドル=)103円、現在で117円台と大きく円安に振れており、(トン当たりの)円貨の入港単価で比較すると、大豆はさすがに7,000円ほど下がっているが、トウモロコシは900円の下げにとどまり、小麦はほとんど変わらず、ナタネは逆に7,000円上がるという結果になっている」と語った。
 今期の作物動向を振り返ると「スタート時は南米大豆の作柄懸念や、降雨による北米の作付遅延と、供給に対してネガティブな状況を抱え、各コモディティ相場とも上昇傾向で始まった。ただ、結論から言えば、必要な時に必要な降雨と日照に恵まれて、北米の14/15年クロップは史上最大レベルの大豊作になった。収穫直前に大豆は10ドル/buを割り込み9ドル20セント、トウモロコシは4ドルを割って3ドル20セントの安値をつけた。その後、非常に堅調な需要が喧伝された局面においても、とりあえずは供給に不安がないことが重石になり、一方的な上げになりにくい展開で今日を迎えている」と今期の流れを説明した。
 また、ナタネについては「前年はカナダが大豊作だった。そこから減産しているものの供給は十分といわれていたが、全体に非常に堅調な需要と、カナダドル安で輸出競争力が高まって、単独で相場を上げているような状態になっている」とナタネの独歩高に懸念を示した。
 今後の展開については「直近では現在生育中の南米のクロップの動向が最大の材料になる」とし、「基本的に世界需給に大きなインパクトを与えるような材料は特にない。史上最大レベルの生産量を睨みながら、生育が進行している状態である」との見方を示した。また、「需要は、少なくとも現在までの進捗は非常に堅調である。ただ、それをカバーする供給は十分であり、期末在庫は大豆もトウモロコシも積み増しの状態である。このような需要の傾向を見ると、もっと(相場が)下がりそうな気もするが、思ったほどには下がらないのが現在の状況だ。加えて、現在のシカゴ相場では、大豆、トウモロコシともに農家の採算はすでにブレイク・イーブンのところにきているのではないかとも思える。このような中で、南米クロップの確定、北米の次期作付けが材料となって表面化するまでは比較的方向感のない不透明な相場つきになるのではないか」と分析した。
 田付部長は「総じて相場は下落傾向にあるが、円安や品質問題等、相場以外の要因から、われわれの生産コストは目に見える相場の下落と同様には下がっていない」ことへの理解を求めた。

 油脂事業、家庭用食品事業の詳細については本誌2015年3月号で紹介する。