• オレオケミカル

ブリジヂストンと花王がタイヤゴム材料を共同開発

 ブリヂストンと花王は11月19日、東京・港区のブリヂストングローバル研修センターで新技術発表会を開催し、両社の共同研究により高機能タイヤゴム材料を開発したと発表した。ブリヂストンの基板材料技術「ナノプロ・テック」と花王の「界面制御技術」を融合し、低燃費性能とウエットグリップ性能という相反する性能を高次元で達成する高性能低燃費タイヤの開発につなげ、ブリヂストンが14年3月に発売した「ECOPIA EX20」シリーズに採用されている。
 タイヤには安全性に加えて近年、低燃費性や高寿命性といった環境面や快適性が求められている。タイヤのゴム材料には、天然ゴム、合成ゴムといったポリマーと、それを補強する充填剤、ゴム薬品と呼ばれる配合剤が使われるが、今回の新技術は配合剤の中のひとつであるシリカ分散剤向上剤になる。
 シリカは充填剤としてポリマーを補強するだけでなく、低燃費性能とウェットグリップ性能(雨の日の運動性能)を向上する効果が大きく、低燃費タイヤの多くなどでシリカの配合量や適用する部材は増加傾向にある。シリカは凝集しやすく、ほどけにくい性質があり、その性能を引き出すにはゴム内でのシリカの分散性を高めることが重要とされている。分散性を高める末端変性ポリマー技術など、ブリヂストンの基盤技術「ナノプロ・テック」をさらに進化させるための新たなアプローチとして着目したのが、花王の「界面制御技術」との融合だった。親水性のシリカは親油性のゴムと馴染みにくいが、界面制御技術をシリカ分散剤の改良に応用し、より多量のシリカを高度に分散させ、また添加した分散剤が最大活用されるように、ゴムに対する溶解性なども向上した。この新たな「サステナブル分散性向上剤」は、花王によるとゴムへの吸着量が従来比2倍となっており、パーム油から作られる100%植物由来のサステナブル原料で開発されている。
 両社の持続可能な社会の実現に向けた取り組みへの考え方など企業姿勢や開発の方向性が近いことも共同開発を後押しした理由のひとつだ。会見に臨んだブリヂストンの草野智弘タイヤ材料開発第1本部長(写真中央左)と原材料開発ユニットの米元真希子氏(同左端)、花王の根来昌一執行役員ケミカル事業ユニット長(同中央右)とテクノケミカル研究所の鷹野哲男氏(同右端)は、この点で互いにリスペクトしながら共同開発を行ってきたことも強調した。