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花王がコラボレーションフェア2014を開催  花王・澤田社長とCMK竹内社長が会見

 花王は6月11~12日、東京・港区のザ・プリンスパークタワー東京において「花王コラボレーションフェア2014」を開催した。有力チェーンストアなど取引先を対象に新商品や売り場作り、売り方などの企画を提案するもので、7回目を迎えた今回は前年を1割ほど上回る約1,500名が国内外から来場した。その開催に先立ち、11日に花王の澤田道隆社長と花王カスタマーマーケティング(CMK)の竹内俊昭社長が記者会見を行った。

 澤田社長は、はじめに消費税増税前後の市場動向について、想定以上に駆け込み需要があったことや、落ち込みはあったが、回復状況は悪くない形で推移していることに触れた上で「全体的には景気の回復基調にあわせて良い形で増税後はトイレタリー、化粧品とも戻っている」との見方を示し、同社の販売状況については「市場の駆け込み需要の率、戻りの率より数%高いところで推移し、事業的にはまずまずの状況で進んでいる」と語った。
 また、「昨年は研究開発の力によって新製品・改良品も大型のものを出すことができた。漂白剤や浴室用の洗浄剤、ファブリックを含めてシェアの高いトップブランドの商品はたくさんある。これを上手く活性化するだけで、ある程度これまでと違う市場を形成できる。また、アジアも昨年好調だったが、現場力を後押しする施策を行うことによって、各エリアでのイノベーティブな商品も出てきた」というように、研究開発力、ブランド力、現場力の3つが同社の成長の原動力となっていると、花王グループの資産の最大化に取り組んでいると強調した。
 一方、アジア展開の強化については「アジアは非常に今、上手く進んでいる。昨年も売り上げだけでなく利益も良い形で付いてきた。これまではプレミアム層を中心とした商品が多かったが、昨年からボリューム層を狙った商品展開を並行した。特に、中国とベトナム、インドネシアに関しては、ベビーおむつ、生理用品、衣料用洗剤の範疇でまずボリュームゾーンに突入しようと、昨年1月から中国では中国製の『メリーズ』の製造・販売をし、衣料用洗剤も出した。良さを提案することによって少しずつ、自分たちの考えている方向に進んでいる。ベトナムは今年1月に、日本からの輸出になるが『メリーズ』、3月に衣料用洗剤を発売し、定着を図っている。インドネシアは日用品の第2工場が竣工し、ボリュームゾーンを含めた家庭品の展開でアジアの方々のお役に立ちたい。簡単なビジネスではなく、社会に定着するのは楽にはいかないと思うが、自分たちの思いを込めた商品をたくさん使ってもらえるように努力したい」と語った。

 続いて、花王カスタマーマーケティング(CMK)の竹内俊昭社長が販売の重点課題コラボレーションフェアの内容について説明した。
 重点課題については、国内事業の基盤強化とグローバルにおける花王グループの成長の2つを優先的課題として取り組んでいる。国内の売り場については「新製品や大型の改良品に合わせてブランド軸の施策はもちろんだが、昨今、高齢化や健康に対する意識が変わる中で、お客様の悩みやニーズに合わせた売り場提案をさらに充実したい。特にシニア層への配慮を住居用やオーラルケアで、ユニバーサルテーマとして提案してきた。今後もカテゴリーを広げて新しい情報発信をしたい」と語った。また、消費税増税後の消費者の購買行動の変化に合わせて「新しい気付きを感じて頂ける企画の開発が必要。ライフスタイル、ライフステージ毎に企画を継続的に提案していく。また、昨年末から総合力を活かし、“お家まるごとお洗濯”のような生活者の快適な暮らしを提案する切り口でコト企画、ソーシャル企画に積極的に取り組んでいる。顧客作りの面では継続使用や関連購買、最終的には小売業様にとっての優良顧客化への取り組みを一層進めたい」との考えを示した。
 チェーン店をはじめ企業ごとに異なる戦略に合わせたジョイント・ビジネス・プランや、サプライチェーンの効率化、小売店の従業員教育のサポート、徹底したショッパー分析などを含めて、質の高い提案活動で企業対企業の取り組みを強化していく方針だ。
 一方、グローバルでの成長については「グループ全体の戦略に合わせてコンシューマープロダクツの販売機能部門としてインターナショナルCMK部門を設置し、グローバルでの一体運営を推進している。日本のヘッドクォーターに販売の本部機能を充実して、流通マーケットをいかに最適化するかや、マネージメント基盤などインフラ部分も共有できるものはしていく方向で進めている。また、日系の小売業がアジアに積極的に進出しているので、日本でのノウハウを含めた売り場提案を一緒にすることで、日本と同様のコラボレーションを進めたい。中国、ベトナムに販売の現場はあるが、日本でも専任の担当を置き、連携しながらその国のビジネスが成長できるようなことを行っている」という。アジアの成長を第一に進めることに重点が置かれている。竹内社長は「花王グループ全体の総合力を活かして、小売業様、その先のお客様を含めて、信頼されるセールス&マーケティングカンパニーを目指す」と語った。

 今年のコラボレーションフェアは「消費税増税後、各小売業さんも良い基調にあるので、これを確かにするということで、より新しい価値提案や市場の創造、活性化を考えておられ、われわれもそういう思いを込めて『需要創造に向けた新しい価値提案』をテーマに設計した」とCMKの竹内社長。提案ブースゾーンでは、快適で心地よい暮らしの提案(ファブリック&ホームケア)や、日々の快適な健康習慣の提案(ヒューマンヘルスケア)、髪と清潔・健康によるビューティの提案(ビューティケア)などを行った。