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日清オイリオグループ芋川専務が営業概況を報告

 日清オイリオグループは5月8日、同本社で「2014年中元期日清オイリオギフト発表会」を開催した。発表会の冒頭、芋川文男専務が食用油の営業概況について報告した。

 芋川専務は、大豆やナタネ、ゴマなど食用油原料のコスト環境が極めて厳しい状況が続いていることから、4月10日より価格是正を進めている状況を説明した上で、家庭用市場について「昨年度は物量で105.6%、金額で109.4%と、ともに前年を大幅に上回る好調な結果となった。3月の消費増税前の仮需の影響は、チェーンストアの統計を見ると9.4%増と前回の消費税引き上げ前の1997年3月の8.4%を上回る高い伸びになった。食用油はSCIデータを見ると、何と37.7%増と記録的な伸びになり、生活必需品としての消費者の意識の高さを再確認した。3月の仮需の影響を除いた2013年4月~14年2月の食用油市場を見ると、物量で102.2%、金額で105.3%と堅調に推移しているが、レギュラーサラダ油・キャノーラ油を合わせた汎用油市場は横ばいとなっている。しかし、情報番組などで健康性が取り上げられたオリーブオイルが大変大きな伸びを示し、市場全体の伸びを牽引した」と分析した。オリーブオイルは、7年連続で市場が拡大し、市場規模は300億円の大台に乗り、物量面でも家庭用食用油の11%を占めるカテゴリーに成長している。

 家庭用市場では、キャノーラ油が数量構成比で約7割を占め、長引くキャノーラ油の競争激化からの脱却も求められる。「当社は『日清ヘルシーベジオイル』の販売強化に取り組んできた。時間が経ってもサクっとした“モノ”としての差別性や、二宮和也さんを起用したコマーシャル、キャンペーンといった“コト”の魅力、あるいは店頭でのキャノーラ油との併売提案など積極的な“売り場づくり”を行い、販売量は約3倍に拡大し、確固たる成果を得ることができた」と「日清ヘルシーベジオイル」の躍進に自信を見せている。
 一方、2014年度の家庭用の販売方針については、「適正価格での販売の継続による市場の安定化を推進するとともに、成長カテゴリーであるプレミアム油とオリーブオイルについて新たな需要を喚起する“モノ”の提案として、スパイシーで本格的な味わいの特別な『BOSCO プレミアムエキストラバージンオリーブオイル』、また普段の油に代えて毎日使える『さらっと軽~いオリーブオイル』、そして食卓に3つのやさしさを届ける『日清やさしいキャノーラ油』を新発売し、市場での定着化を進めたい」との考えだ。各新商品とも計画通りに配荷が進んでおり、また900gの新容器を採用した「日清ヘルシーベジオイル」もキャノーラ油に匹敵する店頭化率への拡大が見込まれている。「さらに、和食のオリーブ(オイル)、リメイクメニューで揚げ物などの需要喚起の“コト”の提案、サポートカードによるオリーブオイルの品揃え提案など“売り場づくり”の訴求などを強力に推進し、“モノ”“コト”“売り場づくり”の仕掛けを強化することで、増税後の消費の冷え込みを打破して、家庭用食用油の市場を活性化して行きたい」としている。

 一方、業務用市場については「業務用の市場価格は昨年4月に原料価格の高止まりと急激な円安の影響から価格改定をお願いし、日経斗缶相場を見ると1缶3,850円だったのが4,150円まで上昇した。しかし、下期以降の価格は下降線を辿る結果となり、残念ながら現在は3,750円の水準で推移している。大豆、ナタネといった主原料を取り巻く環境は非常に厳しさを増していることから、現在の価格は行き過ぎたレベルにあるのではないかと考えている。現在の原料価格を見ると、シカゴ大豆はブッシェル当たり14ドル半ば、ウイニペグのナタネは470カナダドル(/トン)の水準であり、これは2008年の資源インフレといわれた時期に匹敵する相場で、当時の日経相場を紐解くと4,800円をつけており、現状の原料価格の下で価値に見合った価格での販売の推進に向けて、この4月より価格の引き上げをお願いしたところだ」と述べた。

 同社の業務用食用油の販売については「大豆、ナタネを中心としたサラダ油あるいは白絞油のレギュラー油から、油種の特長を活かしたプレミアムオイルや、機能・特性を重視した付加価値型商品のラインナップの強化を図り、前年の販売数量を上回ることができた。特にこの数年は、明確な機能を持って差別化された商品を継続して市場に導入してきた」ことが強みとなっている。
 そのひとつが「日清スーパーロングキャノーラ」。フライの酸価上昇を抑える画期的な新商品として昨年6月に発売し、外食・中食ユーザーへの積極的な提案を進めてきた。また、今年4月には同じく酸価上昇の抑制機能に加えて、大豆油の持つコク味と旨みを兼ね備えた「日清スーパーロング 大豆&キャノーラ」を発売した。さらに、外食店などのユーザーに、手軽に本格的な風味付けができる「日清フレーバーリッチシリーズ」や、揚げ油以外に特長を発揮する「日清プロサポートシリーズ」、オリーブオイル、ゴマ油のカテゴリーでもユーザーの期待に沿える充実したラインナップを取り揃え、多くのユーザーから支持を得ている。「今後とも機能を重視した非コモディティ商品の拡販により市場の活性化を図りたい」との方針だ。