• 団体

松籟科学技術振興財団が第31回研究助成金贈呈式を開催

 公益財団法人松籟科学技術振興財団は2月28日、東京・丸の内のシャングリ・ラ ホテル東京において、2013年度(第31回)研究助成金贈呈式を開催した。
 同財団は播磨化成工業(現・ハリマ化成グループ)の創業者である長谷川末吉氏が科学技術の振興と世界文化の発展を願って科学技術に関する調査・研究・国際交流に対する助成・奨励を行うことを目的に1983年に設立したもの。過去の研究助成金贈呈の対象になった研究実施者には、ノーベル化学賞を受賞した野依良治氏や鈴木章氏のほか、油脂業界では日本油脂検査協会理事長を務める戸谷洋一郎氏も名を連ねている。発足以来、科学技術に関する優れた研究に対し、延べ6億円以上を助成してきた。
 贈呈式の冒頭、挨拶を行った長谷川吉弘理事長(ハリマ化成グループ社長)は「当財団は設立30周年を迎えた2013年4月1日より公益財団法人として新たなスタートを切った。今回、公益財団法人として第1回目の助成金贈呈式を行うことができるのは、関係者の皆様方のご支援、ご指導の賜物と心よりお礼申し上げる」と感謝した上で「日本の景気は2013年に入って持ち直しに転じ、さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、経済効果への波及が期待されている。景気の予測を見る上でひとつの指標となる日経平均株価も1万5,000円前後で、昨年のこの時期の1万1,300円から30%強上昇している。当財団の運営財源は基本財産運用益と寄付金で運営されているので、運用財産収入の増加を期待し、より多くの研究に助成できることを願っている。当財団は1983年に発足して以来、本日贈呈する16件を含めると研究助成は延べ585件、助成金の総額は6億4,283万5,000円となる。過去にノーベル化学賞を受賞した野依良治先生・理化学研究所理事長や鈴木章北海道大学名誉教授がいる。この方々に代表されるように、今までの助成研究がそれぞれ優れた評価を上げ、また、学術的、社会的にも高い評価を受けていることは誠に喜ばしい限りである。本日受賞された16名の方々には、いずれ劣らぬ立派な研究者である。それぞれの研究が大きな成果を生み、野依理事長や鈴木名誉教授に続くノーベル賞の受賞者としてこの場でご紹介できるものと期待している。当財団の研究助成をさらに充実され、科学技術の発展に寄与する研究開発への支援事業活動を行っていきたい」と語った。
 今回の研究助成の応募は、課題A「植物有用成分およびバイオマス資源の高度利用に関わる研究」に対し24件、課題B「エレクトロニクス複合材料および次世代実装に関わる研究」に12件、課題C「持続可能な社会を実現する有機系新素材およびその機能化に関わる研究」に33件があり、あわせて69件(前年比約35%増)にのぼった。
 受賞者を代表して東北大学大学院薬学研究科の守屋孝洋准教授が挨拶を行い、関係者に謝辞を述べるとともに「贈呈頂いた助成金を無駄なく有効に使わせて頂くことにより研究成果を出し、社会に還元したい」と語った。
 その後、研究成果発表として兵庫県立大学大学院工学研究科の生津資大准教授が2010年度研究助成テーマである「瞬間発熱機能を持つ材料開発とMEMS実装応用」について発表した。