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ゴマ業界が合同賀礼会を開催

日本ごま油工業会と全国胡麻加工組合連合会、油糧輸出入協議会は1月31日、東京・港区の芝パークホテルにおいて合同賀礼会を開催した。
 全国胡麻加工組合連合会の北村弘一理事長(北村商店・取締役相談役)がはじめに、「全般的に見ると日本は長年のデフレから脱しつつある。しかし、われわれにとっては誠に困難な状態である。円安だけでも大変な事態だが、世界的に見てゴマの価格が値上がりを続けており、しかもまだ上がるかもしれないという状態である。原因は様々あり、世界的に食料がすべて上がってきていること、ゴマが農業機械で生産できないこと、つい数年前まで輸出国であった中国が世界最大の輸入国になったこと等、いろいろある。しかし、このような困難な状況を打破しなければならない。そのためには、それぞれが知恵を絞り、最大の努力をしてこの苦境を脱することを各自頑張るしかない」と挨拶を行った。
 続いて、日本ごま油工業会の小澤二郎会長(かどや製油・代表取締役社長)が挨拶に立ち、「来週の初めに立春ということで春が近いが、われわれの商売は春は遠い感じがしており、非常に頭が痛い。円安が進み、原料も高止まりと、良いところなしで来ている。なかなか思うような利益を上げられず苦しんでおり、おそらく今年1年間、相当苦労をすると思っている」との見解を示した。原料ゴマは欧州・中東等におけるゴマを使用する食文化の拡大や多様化が進み、世界的なゴマ消費が増加するとともに、特に中国やインドの輸入量増加が近年のゴマ需給を圧迫している。また、供給側の要因では、世界のゴマ作付面積が2010/11年のピークを境に2年続けて減少し、生産量もピークの380万トン強を下回り12/13年度は370万トン程度にとどまっている。多雨や干ばつ等の悪天候による主要産地の減産に左右されるだけでなく、シッパー間での買付競争の激化、産地農家の相場情報へのアクセス性向上などから世界のゴマ相場は2,000ドル/トンを超え、直近では2,500ドルに迫る展開となっている。
 一方、冷凍食品の農薬混入事件への関心の高さもあって、これまでも農業生産・物流面での農薬管理を徹底していたゴマ油業界はさらにガード体制の強化に努める考えだ。小澤会長は「今まで外部から侵入してくるものについてのガードを相当してきたつもりだが、今度は内部(の農薬混入リスク回避)も行わなくてはならない。ゴマ油は(焙煎・圧搾するため)設備に相当コストがかかり、設備の消耗度も高く費用がかかるが、それに対しての評価は得意先にはなかなかしてもらえない。一方、農薬問題については、水際のチェックだけでは済まされないということで、400くらいの農薬のチェックをしなければならず、ガスクロ(ガスクロマトグラフィー)と液クロ(高速液体クロマトグラフィー)の両方の設備を持って、非常に費用がかかるが、これをせざるを得ないので行っている。同業他社はどういう風にこれを切り抜けていくのか、合同会等で議論し、消費者に対して、農薬のない安心・安全な商品を提供できる体制をきちんと作っていかなければならないと思っている。お互いにそれぞれが努力をし、収益性の高い商売をするような努力をしていきたい」と語った。
 また、その後、油糧輸出入協議会からは、三井物産・穀物物流部油脂室の斉藤岳氏が最近のゴマ原料事情について説明した。