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ライオンが制汗剤の新技術を開発
 新密着メカニズムにより汗ジミを抑制

 ライオンは10月29日、東京・江戸川区の同社研究開発本部(平井事業所)において、制汗剤の新技術に関する説明会を開催した。会見には、研究開発本部ビューティケア研究所の万代好孝研究所長と同研究所の尾本百合子氏が出席した。
 同社が一般女性を対象に制汗剤に関する意識調査を行ったところ、ワキ汗が気になる理由はニオイと汗ジミにあり、現在使用している制汗デオドラント剤ではニオイを抑える効果について満足していない人が2割強だったのに対し、汗ジミを抑える効果は6割近くが満足していないことがわかった。実際に、ワキ汗の実態を調査すると、通勤時女性の5割弱が汗ジミのできる発汗量であったが、従来品の汗ジミを防ぐ効果はその19%しかカバーできない水準だったという。
 そこで、新たな汗抑制技術の開発に取り組み、皮膜の密着性という観点から、密着性向上成分としてアクリル樹脂アルカノールアミン液を選定した。制汗有効成分としては古くから利用されており、制汗効果が高く刺激性も少ないアルミニウムクロロハイドレート(ACH)を採用した。ACHは汗と反応してゲルを形成するが、身体の動きによる伸縮や衣類と肌とのこすれなどを受けても、塗布後のゲルが皮膚から剥がれにくく、皮膚への密着性を高める技術が制汗効果の向上につながると考えたからだ。
 そして、ACHと密着性向上成分がコンプレックスを形成することにより、肌への密着性が高まり、制汗効果が向上することを見出した。
 塗布した際のワキ部の制汗率は従来技術でACHを採用した場合に比べて約2.5倍に向上し、通勤時の汗ジミ抑制効果は70%程度をカバーできるほどに高まった。この新たな製剤を使って今夏に20~30代の有職女性を対象に実施したところ、通勤時の汗ジミ抑制効果の満足度は84%に達し、高い評価を得ている。ライオンは、同技術に関連する特許を3件出願しており、今後制汗剤の商品開発に活かしていく考えだ。