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J-オイルミルズ松居専務「年内に価格を下げる要因は製油業界にはまったくない」と営業方針語る

 J-オイルミルズは8月26日、都内で油脂業界紙記者団と夏季懇親会を開催し、今後の営業方針や原料状況などについて報告した。
 松居伸一取締役兼専務執行役員は、第1四半期決算発表を行った3週間前から見ると「原料が先安という雰囲気だったのから、この直近の雰囲気はまた随分大きく変わりつつある」と指摘し、10~12月に向けてビビッドに直近の原価計算をし直した上で、先週開いた同社の支店長会議で新たな営業方針を伝えたことを明らかにした。
 秋の新商品については、「家庭用の『ユーロリーブ』やオリーブ系のフレーバーオイルが今、家庭用の商談の進捗の半ばくらいにあるが、想定していた以上に配荷が進みそうだ。オリーブオイルはもの凄くマーケットが伸びているので、新たな提案をストアさんもしたいというニーズがある。この波に乗って、残り半分の商談で成果が出るようにしたい。業務用で出した『長調得徳』1,350gのボトルについては、『長調得徳』は元々あった商品で、それほどのインパクトはないかと思っていたが、例えばキャッシュ&キャリーの皆様方は、家庭用で販売しているような普通のサラダ油ではなく、業務筋に認めて頂けるこういう商品、なおかつ単独店で提案できるような商品が欲しいと待っていた。ということで、キャッシュ&キャリーの店頭で、この良さを伝達するためのPOPや、できれば動画を準備して欲しいなど様々な要請を受けながら、今、その準備をしているところだ。これもかなりの反響を得ており、家庭用も業務用も秋の新商品は非常に順調に動いている」と報告した。
 一方、価格政策については、先週開催した支店長会議において「大豆ミールはまだ半分も商談ができていない、ナタネミールはほとんどできていないという段階で、直近のシカゴ(相場)の状況を見ると、年内に価格を下げる要因は製油業界にはまったくないという方針を伝達した」ことを明らかにした。
 「7~9月はあれだけ高い原料で、為替も円安で決めたのが、転がし転がしで恐らく10月一杯高くなっていく状況が続く。4~6月の当社の原価は対前年で54億円上昇したが、その後7月単月を見ると、そこからさらに1カ月で5億円上がっている。8月、9月、10月と恐らくそういう状況が続いてくる中で、ちょっと先安だからといって下げる要因はない。この現状で大豆の10~12月の油の原価を計算すると、値上げの分が(目標に対して100%)行っていない現状においては、少なくとも下げる要因はまったくない環境にある」という。
 需要や搾油計画については「業務用の方も需要がザラ場を中心にあまり芳しくないということで、当社としては10~12月の搾油量も当初計画よりも需要に合わせるということで少し減らす。減らして需要に合わせて、無理な販売をしなくて良いという供給体制を取るということで、営業には売り急ぐ必要なしという指示を改めて出したというのが先週の状況だ」と説明した。

 また、原料状況について後藤康夫常務執行役員は「3週間前に大豆も豊作、ナタネも豊作、ただし天候次第で余談を許さないという報告をしたが、その通りになった。先週からずっと上げを続けており、大豆は直近14ドル、ナタネは530カナダドルをつけている。円安も加わり、非常に高い状況が続いている。高温・少雨の影響が一番大きい。USDAでも単収が発表されるたびに下がり、先週のプロファーマー社の41.8bu/エーカーという発表も材料になった。ナタネもカナダ統計局の発表は(生産量)1,470万トン。大豆に連れ高ということと、予想ほど取れないだろうということで、大豆・ナタネとも非常に高い状態が続いている。第3四半期の後半から第4四半期には少し原料の先安感があったのが、一変している。大豆については、これから2週間くらいの状況でまた大きく変わる可能性もあるが、非常に厳しい状態に入っている。この3週間で大きく変わった」と報告した。