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かどや製油がゴマ油・食品ゴマを再値上げへ

 かどや製油は8月8日、都内で会見し、2014年3月期第1四半期の概況説明とともに、10月1日よりゴマ油・食品ゴマを価格改定すると発表した。
 当期第1四半期の業績は、売上高56億7,800万円(前年同期比4.4%増)、営業利益6億2,900万円(同4.8%増)、経常利益7億8,300万円(同25.4%増)、当期純利益4億6,800万円(同28.0%増)の増収増益となった。小澤二郎社長は「売上高も経常利益も少しプラスが出たが、ほぼ昨年並みの内容で第1四半期を終えた。しかし、7月から高値原料を使う中に入るため、そう甘くない。脇を固めていく」と語った。
 同社は、ゴマ油は5月1日から約10%、食品ゴマは6月1日から10%以上の価格是正を実施した。佐野雅明常務は販売状況について「4~6月を振り返ると、(値上げの)前買いの影響もあり、4月は相当に出荷が増えた。5月もさほど(数量減への)影響は出なかったが、6月は極めて出荷数量が悪かった」という。家庭用でいえば、同社の商品は着実に価格が上昇しているものの、競合他社のゴマ油価格是正の遅れもあって「6月から引き続き7月も家庭用については苦戦している。ただ、ここで条件を合わせては値上げが意味をなさなくなる。臥薪嘗胆の状態」と評した。
 4~6月の販売数量は、家庭用が前年比5%減だが、4月は20%増で5~6月の落ち込みが大きい。一方、業務用は前年比8%増。ユーザー向けでは四半期商談の慣習もあって、早々に価格是正が進んだところは少ない。7月以降の価格是正を掲げていたマヨネーズ類の生産量はドレッシングを含めて好調で、同社の業務用ゴマ油・食品ゴマも4~6月の出荷は好調に推移した。「値上げ前の価格で多く出たものだが、今現在で捉えれば、価格是正はほぼ100%家庭用も業務用もできている。(価格是正により)数量が減るのであればこれからであり、動向を非常に気にかけている」という。
 輸出用のゴマ油については、数量ベースで11%増、販売価格は円安もあり23%増と好調だ。「4~6月の増収という結果は、輸出に助けられた部分が非常に大きい。5月初めから値上げをしたが、7~9月の状況を見ても数量への影響はあまり出ていない。10%増に近い数字で推移することを期待している」と佐野常務。
 一方、搾油用(アフリカ産)のゴマの通関単価はトン当たり10万円を下回っていた昨年9月以降、急上昇を続けており、今年5月に15万円、6月には17万円を超えている。同社の第1四半期の売上原価も前年同期を約4億円上回っており、販管等で約2億円のコストダウンを図って「辛うじて昨年並みの決算ができた状況」だ。1~3月の13~14万円台の搾油用原料ゴマは使い切り、7月以降はさらに高値原料を使用することになる。先頃収穫を終えたタンザニア産は、中国の買い付け数量が伸び悩む中でも1,900ドル/トンを超える高値を維持し、11月に収穫を迎えるナイジェリア産は来年以降の使用見合いになる。
 同社はすでに一部来春までの原料確保に動いており、佐野常務は「来年4~5月までこうした高値原料が入ってくるという大きな波をこなしていくことが最大の課題。まず4~6月並み(の製品価格)で推移すると、ほとんど利益が出ない状態になる」と強い危機感を示した上で、10月1日付けで家庭用・業務用ゴマ油の値上げを実施することを発表した。5月の価格改定では、拡売費等の削減による特売条件の引き上げを図ったが、今回は建値そのものを変更する強い姿勢で価格改定にのぞむ。値上げ幅は、小売価格で約10%。家庭用の「金印 純正ごま油」の参考小売価格(税抜)は、200gが現行の430円から470円、400gが同790円から870円に引き上げる。業務用の斗缶については商品グレードによって異なるが、平均約900円の引き上げを実施する。
 また、家庭用の食品ゴマ、練りゴマについても2~3%小売価格を引き上げる。