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バイテク情報普及会がセミナーを開催

 バイテク情報普及会は3月6日、東京・丸の内の東京ステーションコンファレンスでセミナーを開催した。セミナーでは、国際アグリ事業団(ISAAA)会長のクライブ・ジェームズ博士が「ISAAAの紹介および2012年世界の遺伝子組換え作物の商業栽培に関する情報」、同事業団国際コーディネーター兼東南アジアセンター長理事長のランディ・A。ホーティ博士が「フィリピンにおける遺伝子組換えトウモロコシのインパクト」をテーマに講演したほか、バイテク情報普及会が昨年実施した「遺伝子組換え食品に関する消費者の意識調査」について報告した。
 ジェームズ会長は「遺伝子組換え(GM)作物の商業栽培の状況は、1996年から2012年までに170万haから1億7,030万haと目覚しい伸びになった。農家が自信を持って受け入れていることが、この100倍の増加にあらわれている」と語った。2012年にGM作物を栽培した農家の数は世界28カ国で1,730万戸にのぼり、2011年比で1,030万ha増、6%増の伸長率になった。「2012年には新たに2カ国がGM作物の栽培を開始した。ひとつは北部スーダンでBtワタ。もうひとつはキューバでBtコーンの栽培を始めた」という。
 GM作物を栽培する28カ国のうち、栽培面積の上位は、米国6,950万ha、ブラジル3,3660万ha、アルゼンチン2,390万ha、カナダ1,160万ha、インド1,080万haの順で、87%を北米・南米が占めている。しかし、20カ国が発展途上国となっており、「2012年は、世界の栽培面積で史上初めて、発展途上国が52%と半分以上を占め、先進国の48%を凌駕した。ブラジルがその成長エンジンで、ブラジルの増加は前年比630万ha増で21%増と世界最大だった。発展途上国の伸長率は先進国の3倍で、前年比11%増、870万haの増加になった」という。先進国は農地面積の限界もあり3%増、160万haしか増加しておらず、「アジアにこそ今後の成長のきっかけがある」とジェームズ会長は語った。
 2011年単年でもたらされたGM作物の経済価値は、発展途上国で101億ドル、先進国では96億ドルと試算されている。

 今後、商業栽培される承認済みのGM作物としては、2013年にブラジルで初のスタック大豆(除草剤耐性・害虫抵抗性)や、2013年に米国で初の乾燥耐性トウモロコシがある(アフリカは~2017年)。その他の開発製品としては、オメガ3大豆、より効果的で持続性の高い病害虫・雑草管理を可能にする二重作用製品として、GMサトウキビやウイルス抵抗性マメ(2014年ブラジル)などがあるという。