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日清オイリオグループが政策説明会を開催
「モノ」「コト」「売場」の三位一体で価値提案

 日清オイリオグループは3月5日、東京・港区のANAインターコンチネンタルホテル東京において「日清オイリオグループ政策説明会」を開催した。
 同説明会は、食用油の価値向上と非価格プロモーションによる需要喚起を一貫して提案するもので、量販店を中心に同社の全国の主要取引先を対象に開催されている。商品、売場の提案、そして食のトレンドに対応した食卓の提案を進めてきたが、今回は新たに同社生活科学研究室の調査データをもとに、消費トレンドに対応した家庭用商品、惣菜・デリカ、ベーカリー売場からの情報発信による総合的な食卓の提案を行った。当日は全国のバイヤーや惣菜売場担当者など約100社300人が参加した。
 冒頭に芋川文男代表取締役専務執行役員は「最近の社会環境、ライフスタイルは大きく変化しており、生活者の購買、消費意識も非常に大きく変化している。安全で安心、そして消費者が求める付加価値を兼ね備えた商品、すなわち『モノ』の提案と同時に、生活者の心に響く情緒面やサービス面、機能面での『コト』の提案を行い、優れた売場、販路を持つ皆様との取り組みを強化することにより、継続して需要喚起を行えると考えている」とモノ、コト、売場の三位一体による取り組みを強化していく方針を示した。

 家庭用食用油の市場規模は、2012年4~12月の重量ベースで前年比101.7%で推移した。家庭内での揚げ物調理の頻度は減少しているが、手軽にできる炒め調理の食卓出現度は微増で、ボリューム商材であるレギュラー油・キャノーラ油は100.4%と堅調だ。一方、食卓や調理への出現度が高くなってきたオリーブ油は122.0%、ゴマ油も103.8%と拡大し、家庭用食用油市場の牽引役になっている。芋川専務は「当社の生活科学研究室がまとめた調味料全般に対するこだわり調査によると、消費者が食用油に対してこだわりを感じていることは『健康性』であるとの回答が最も多い。健康に良いと思って意識的に利用する食品としてオリーブ油が2004年のランキング12位から2012年には4位まで大幅に上昇した。家庭用食用油の市場規模が堅調に推移している背景には、内食回帰に加えて、オリーブ油市場の拡大に見られるように、食用油に対する健康意識の高さが影響していると考えている。健康、おいしさをベースにした充実した食卓の提案により、市場の活性化、需要の喚起を図りたい」と家庭用の販売の考え方を説明した。
 一方、業務用については、「モノ」すなわち商品ラインアップとしてフルラインの品揃え強化のもと、キャノーラ油や綿実油、コーン油、べに花油など風味の異なる油種の組み合わせやブレンドにより、それぞれの長所を活かして、業務用に最適な商品の提案を行っている。さらに、フライ油だけでなく、炒め調理や炊飯時の作業性向上と調理品をおいしく仕上げる機能を備えた「プロサポートシリーズ」、また、調理時に手軽に風味付けできる「フレーバーリッチシリーズ」、CL製法により酸価の上昇を抑えてフライ油を長持ちさせ、揚げ物のサク味も持続するというダブル長持ち機能を備えた「スーパーデリカエースシリーズ」も中食・外食業界から高い支持を得ている。
 「コト」の面では、調理現場での作業性の向上や、調理環境の改善に向けて、使いやすく軽い、しかもゴミの少ないピロー容器を提案するほか、油の上手な使い方、フライ油オペレーションなどソフト面での提案も充実させている。「デリカ・惣菜売場での需要喚起に向けたメニュー提案を行い、買い物に立ち寄ったお客様の共感を得られるようなお手伝いをしていきたい」と語った。

 また、原料の価格動向については、「新興国の人口増加や急激な経済発展、その結果として所得や生活水準が向上し、一人当たりの食料・穀物需要が大きく伸びてきている。ここ数年、大豆、ナタネ、小麦、トウモロコシといった主要穀物、油糧種子の価格が高騰しており、いずれも2006年の秋頃の水準と比較して2.5~3倍の高値高原相場で推移している。さらに、昨年誕生した安倍政権による金融、財政、成長戦略の3本の矢であるアベノミクスへの期待感から円安が急激に進行している。私どもの原料調達はドルベースで購入しており、円安・ドル高の影響を受けて食用油のコストは大幅に上昇している」と芋川専務は強調した。さらに、オリーブ油も干ばつの影響により、価格が前年比1.5~1.7倍、ゴマの原料価格も需要に供給が追いつかず2倍強の水準に高騰している。
 同社は4月1日より、家庭用、業務用、加工用食用油全般(健康オイル、綿実油、べに花油などのプレミアム油を含む)についてkg当たり30円以上、斗缶当たり500円以上の価格改定を実施する。また、オリーブ油については家庭用で20%以上、業務用イタリア産200円以上(kg当たり)、スペイン産240円以上(同)、家庭用グレープシードは10%以上、ゴマ油については家庭用・業務用とも10%以上の価格改定を実施する。
 芋川専務は「食用油全般におけるコスト環境は極めて厳しい状況になっており、今後とも高値高原相場での推移が予想され、4月1日より食用油の価格引き上げをお願いする。今後ともコストに見合った適正価格の販売にて、安全で安心、さらには価値ある商品を安定的に供給していくため理解をお願いしたい。私どもを取り巻く環境は大変厳しい状況におかれているが、このような停滞感を打破し、いかに需要を喚起していくかが生活産業に関わるものの使命であると考えている。食用油の良さ、おいしさを改めてしっかりと伝え、皆様方との取り組みを強化し、提案のもとさらなる需要喚起を図っていきたい」と語った。