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昭和産業が経営概況を報告

 昭和産業は2月6日、東京・お茶の水の銀座アスターにおいて、油脂・食品記者と記者会見を開催した。岡田茂社長は、第3四半期の決算内容と、昨年からスタートした「中期経営計画12-16」の進捗について説明した。
 第3四半期の決算について岡田社長は「売上高は1,721億5,800万円で前年比0.0%増、営業利益は65億4,700万円で同10.9%増、経常利益は71億1,000万円で同7.6%増、四半期純利益は47億700万円で同19.6%増となった。製粉事業、油脂事業、ぶどう糖事業はそれぞれ販売数量を伸ばしたが、食品事業、飼料事業関係の販売数量が落ち、全社トータルの販売数量は1.3%減少した。しかし、穀物価格上昇にともない販売価格はアップし2,400万円ほどの増収となった」と報告した。通期の予想は売上高2,300億円、営業利益80億円、経常利益80億円、純利益43億円としている。「円安が進んでおり、油脂や糖類、配合飼料関係は採算が今後厳しくなっていくことが予測されるが、当初の予想値から変更はしていない。残り2カ月、一生懸命取り組んでいきたい」と語った。
 5カ年計画の「中期経営計画12-16」では、1)基盤事業の持続的成長、2)新たな分野への挑戦、3)海外事業の推進、4)効率化の推進、5)グループ連携の強化、6)CSR経営の推進、の6つを基本戦略に掲げている。
 基盤事業の持続的成長について岡田社長は「当社の強みは2つある。ひとつは、穀物のハンドリングがグループ全体で年間約200万トンあり、国内のメーカーではトップクラスであること。これに対応できるサイロを含めた吸い上げ機、港湾設備を有することが強みと思っている。2つめは、その200万トンという穀物のプラットフォームの上に、それぞれの事業が乗る形になっており、それぞれが連携を取りながら営業活動を行っていることだ」と述べ、小麦粉製品と油脂、小麦粉製品と糖化製品の複合形で提案を行える強みを活用していく方針だ。
 また、「プラットフォームの成長を考えれば、市場環境は非常に厳しくなっているが、戦略的もしくは一時的に市場シェアの縮小があったとしても、基本的にはしっかりとシェアを上げていきたい。その獲得においても穀物のプラットフォーム、ボリュームが生きてくる」と強調した。

 事業の見方についても、今中期計画から視点を変えている。例えば、小麦粉のミックス製品は製粉部、油脂部、食品部、広域営業部とグループ会社等で販売を行っており、従来、個々の部門による戦略によって動いていたが、全体を俯瞰して事業運営することに変更している。全社的な視点で基盤事業の持続的成長を図っていくだけでなく、新たな分野への挑戦をはじめ、一元化の視点を重視した取り組みを進めている。
 「従来は生産技術、基礎研究、商品開発がそれぞれ個別の管理体制にあった。これらをRD&E戦略委員会に一元管理するよう組織を変更した。約1年半が経ち、プロセスの改善や新規分野の開発、海外事業のテクニカルサポートなど多くのことが並行して進みつつある。研究テーマの明確化、優先順位、サポート体制をどのように行うが明確になったことが大きい。スムーズに新しい技術、商品が生まれつつある状態だ」と岡田社長。
 今春、新商品として投入する「レンジでチンして豚こまとんカツ」もそのひとつ。また、業務用商品でも、糖類やたん白で有望な商品を現在検討中だという。
 グループ連携の強化では、昨年4月にグループ経営推進部を立ち上げ、グループ業績の向上、グループ会社の経営支援、技術支援、販売支援など業績向上につながる施策実行のために、グループ会社のサポート体制を一元化した。また、昨年5月に新統合基幹システムを導入し、生産から販売、物流まで一元管理を可能にし、効率化の推進を図った。「今年はそれを活用していく年で、まずは、在庫の圧縮や削減等を進めたい」という。