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日清オイリオグループの今村社長「需要構造の変革に向けて重点課題に取り組む」と語る

日清オイリオグループは1月27日、東京・帝国ホテルにおいて油脂・食品記者を招いて「2012年日清オイリオグループ新春記者会見」を開催し、経営方針などを明らかにした。
最初に挨拶に立った今村隆郎社長は、今後の原料見通しについて「大豆に関しては供給面で南米の豊作が期待されていたものの、ラニーニャ現象による天候の悪化から生産見通しの下方修正が相次いでいる。降水量によっては予断を許さないと考えている。中期的には、米国における大きな生産増加は期待しにくく大豆生産の中心は南米に移っていくと見ている。一方ナタネについては、2011年にカナダ産ナタネが1,400 万トンを超えて、今年は1,500 万トンぐらいの生産が期待されている。しかしながら、今年は例年より降雪量が少ないということで、春先から始まる作付け期を控えて、十分な土壌水分が確保できていないのではないかという懸念が広がっている。こちらも予断を許さない状況にあると考えていると」語った。
また、同社が進める経営計画GROWTH10のフェーズⅡについて、「大変厳しいスタートになった。3月に発生した東日本大震災で当社の磯子工場の倉庫が被災し、ゴールデンウイーク明けまで生産や出荷が影響を受けた。改めてサプライチェーン確保の重要性を認識した。首都圏を直下型のマグネチュード7クラスの地震が4年以内に発生する確率が70%ともいわれている。十分な備えが必要と思っている。昨年の震災直後の自粛ムード、欧州の財政危機等々、景気の先行きが不透明ということもあり、個人消費が低迷した。最近ようやく持ち直しているものの、国内はデフレ状態が続いている。油脂の販売価格についてもある程度までは是正できているが、当社としては必ずしも満足できるレベルまではきていないと考えている」との見方を示した。
 そして「今年はGrowth10フェーズⅡが2年目を向かえる年ということもあり、安定した収益基盤の確立と確かな成長の実現を目指して、需要構造の変革に向けて重点課題に集中的に取り組む年になると考えている」との決意を示した。
 次いで、芋川文男専務が国内油脂事業の販売政策について、森野徹専務が中国での油脂事業展開について、瀬戸明常務がファインケミカル事業について、それぞれ報告した。
 詳細は本誌「油脂」3月号(2月20日発売予定) に掲載予定。